東王の日記

東王の日記

五等分の花嫁の感想考察日記!

五等分の花嫁:94話『分枝の時①』感想 これは自身の夢と向き合うための物語。

 94話を読了しました。サブタイトルの『分枝の時』ですが、何と言いましょうか。ある種の予感めいたものを感じさせるタイトルですよね。W〇ki〇ediaによると『植物において、幹となる部分からいくつかに分かれること』ということです(生物学的に言えば、ですが)。

 

 今まではあらゆる事において『五人は一緒、五人は同じ』だった五つ子達の世界。でもそんな状態がいつまでも続くとは限らない。五人で作り上げた輪から一人、また一人と抜けていき、別々の道を歩んでいく。そんなイメージを彷彿とさせる今回のシリーズは『7つのさよなら』以上に『別離』『独立』を意識させるような、物悲しさや切なさがより一層含まれているように感じました。一本の大きな木が五つに枝分かれしていく様は、一つの所に留まっている五つ子がそれぞれの未来に向かって進み続ける事を示しているかのよう。

 

 さて、一花の重たい決断から始まった今シリーズ。その終着点はきっと全員が自分自身の過去と決別し、未来を考え夢を探し、あるいは夢と向き合って、納得のできる答えを見つけ出すことです。そういった予想を軽く立てつつ、いくつかの展開予想も含めて今回の話を見ていきましょう。

 

一花の決断に4姉妹は

 前回のラストで一花の「学校辞めるんだ」という言葉を聞いた四人の反応は様々なものでした。

 

 まだ五人で一緒にいることに拘りを見せて姉妹が離れ離れになってしまうことを恐れている二乃は、ストレートに一花に何故かと問いかけます。

 

 これは本当にその通りで、高校3年生の2学期とは言ってしまえば卒業の一歩手前に当たる時期です。いつかは皆と離れることがあるのかもしれないけど、共に高校を卒業するくらいの時間的な余裕はあると思うのが普通です。

 

 ここまで色々なトラブルが続いてきたけど、それを乗り越えて五つ子の絆がより強くなったんだから卒業まではせめて一緒にいたい。そんな二乃の涙ながらの訴えも、一花を動かすことはできませんでした。

f:id:azumaou:20190718052438p:plain

あと半年なのに

 逆に正反対の意見を言ったのが五月でした。一花と同じく明確な夢を既に持っている五月です。自分の進むべき道が教師である以上大学への進学は避けられませんが、一花の夢は女優であり、そちらに専念するのであれば学校に行く必要がないことは五月でもわかっていることです。

f:id:azumaou:20190718053347p:plain

学校よりも大切なもの

 それに対して二乃が「まさに優等生のセリフね」「それはあんた自身の言葉かしら」と反発をします。まるで借り物の姿で喋っている風の五月に対して二乃が嫌気をさしていることがわかりますね。

 

 おそらく二乃はヤケになって色々言ったんだと思いますが、当の五月もその事で思い当たる節があるのか、「!」と反応を示しています。表面上では一花を祝福しているものの、根底では一花と一緒に卒業したい、学校を辞めてほしくない気持ちで一杯なんじゃなかろうか?というのが推測できるとともに、やはりまだ五月の中で亡き母・零奈の存在が響いているんだろうなと考えられますね。 

f:id:azumaou:20190718054356p:plain

その言葉は誰の言葉?

  あ、ちなみにいっちゃん最初にこれについて思ったことを言ってしまうのであれば、そりゃあ五月は優等生ですよ、ただ馬鹿なだけなんだ!

f:id:azumaou:20190524233520p:plain

優等生だけど!

 話が逸れました。 

 

 四葉も二乃ほどではないにしろ「一花と学校に通いたかった、一緒に卒業をしたかった」という願いをぶつけつつも、しっかりと一花の夢を応援すると言います。

f:id:azumaou:20190718055128p:plain

応援するよ

 ただこれなんですが……。四葉にしては淡泊というか、五月の時とだいぶ温度差が違うなあ……っていうのが第一印象でした。五月の時は本当に、心の底から応援しているような雰囲気があったんですよね。

f:id:azumaou:20190718054902p:plain

四葉の勢いが全然違いますね

 これは四葉の中で何かしら一花に思う所があるからなのかもしれません。まあ思う所も何も明らかに”これ”でしょうけど。

f:id:azumaou:20190718055725p:plain
f:id:azumaou:20190606203904p:plain
四葉(と二乃)は見た



 そんな感じで3人が一花の決断に反応を示しましたが、三玖はここでは沈黙。後日一花が学校に中退の挨拶に来たタイミングで声を掛けました。

 

 同じ学校の生徒に『有名人』と言われた一花に「おかしいね」と三玖が言いつつ現れるのですが、どう見てもあなたの登場の仕方がおかしいです。

 

 やっぱり皆考えることは同じだったんだなって(笑)

 

 どうやってそんな高いところに登れたかはわからないんですけど、例の忍者のコスプレをしたら急に跳躍力がはね上がったんですよきっと。ニンニン!

f:id:azumaou:20190718232808p:plain

あなたがね!

 まあそんなことはさておき、三玖の言っている事もごもっともです。今こうして学校に通っている内から『有名人』と呼ばれるということはつまり、仕事も勉強もしっかりと両立させてきた一花の頑張りが世間(高校)に認められている何よりの証拠です。それなのに突然学校を辞めるなんて「おかしいね」以外に言いようがありません。

 

 そして一花に「私といることがまだ辛い?」と疑問を直接ぶつけます。修学旅行で和解はしたものの、今でもまだ自分に対して感情的なしこりが残っているのかもしれないと三玖は推測したわけですね。

f:id:azumaou:20190719002100p:plain

まだ辛い?

 さすがに当事者の三玖の一言には答えざるを得なくなったのか、一花は心の内を話し出すことになります。

 

 三玖と一緒にいることは辛くないし、皆と一緒に卒業したいとは思っているようです。しかし、風太郎の近くにいるといつ『風太郎を取られたくない自分』がまた顔を出して何をしでかすかわからない。『過去の過ちがまた未来で起こるかもしれない』『まだ諦め切れていない自分が存在している』と思ったからこそ「自分が許せなくなる」という気持ちになってしまうのでしょうか。

f:id:azumaou:20190720095649p:plain

一緒に卒業したいよ

風太郎の出した最善策

 三玖の説得でも一花の本音を吐き出させただけで終わってしまいました。最後に一花の前に現れたのは風太郎です。マルオから連絡を受け、マンションで四葉から一花の事を頼まれた風太郎は『一花を休学扱いにし、規定以上の出席日数と一定以上の学力を示す』という起死回生の解決策を一花に提示します。

 

 一花が学校を辞めることに関しては以前まではおそらく賛成側だったでしょうが、今回の説得でハッキリ否定側に回ったことが分かりますね。なんとしてでも5人一緒に卒業をさせたいようです。

 

 それにしても「この手段を選べ」とか「俺がいれば話は別だ」とか、中々に格好いいことを言ってくれます。風太郎にはもはや自信の塊と呼べるレベルの学力の高さを有しているし、それが問題解決に役立つならトコトン利用してますね。やっぱりもう自分の事を認められるようになってるんだろうなあ。

f:id:azumaou:20190720100912p:plain
f:id:azumaou:20190720100921p:plain
フータロー君も言うようになったね

 

 とまあ、『五人一緒に笑顔で卒業させる』という一番最初に決めた目標をとことん堅守していく風太郎の姿は中々に立派だとは思いますが、それでも一花の決意は固く、失敗に終わってしまいました。

 

 

 ここでちょっと話を強引に変えたいと思います(汗)

 

 実は説得が失敗した理由の一つに風太郎の「ビジネスだ」という発言があると思っているのですが、なぜ風太郎がそのような事を言ったのかについて、2週間前からずっと抱いてる『とある予測』について書いていこうと思います。

 

展開予想①:今現在らいはが入院しているのでは?

 プール回の時からずっと不思議に思っていた件です。前回までは単なる偶然の連続だから確信が得られなかったんですけど、今週の話で確信できる要素があからさまに出てきたなって感じだったので覚悟を決めて提唱していきましょう。前々回、前回で話した内容については割愛しますので、他で見つけた根拠について説明していきますね。

 

 まず今回の冒頭。マルオから一花が学校を辞めるから家庭教師も4人で進めてもらう、という連絡を受けた時の事です。風太郎は自分の家にいるのに部屋の明かりはついていないように見えます。効果音も何もないので扇風機すら回ってないかもしれない。もしかしたら『病院までらいはを送って、それから家に帰ってきた直後』なのかもしれません。

f:id:azumaou:20190720123242p:plain

部屋の暗さが分かる構図

 そして前回、風太郎は零奈の命日について「俺も行こうと思ったが身内だけの方がいいだろ そういうのは」と言っています。最初は『色々思う所があって結局考えが変わっちゃったのかな?』といった程度にしか考えていなかったんですけど、もっとシンプルに『その日に予定が入ったから行けなくなった』って考えることもできるなと。で、その予定がらいはの入院ってことです。

 

 マルオもらいはの入院の予定があったから「明日も忙しいの?」という二乃の問いに「ああ」と答えたんだと思います(まあ人一人入院することに関してどれくらい忙しくなるのかは全く存じ上げませんが、医者としての仕事に変わりはありませんので一応)。

 

 零奈の命日である8月14日にらいはがマルオの病院に入院する。そういう感じですね。

f:id:azumaou:20190720123819p:plain
f:id:azumaou:20190720123910p:plain
『らいはの入院』で二人の言葉は繋がる。

 

 そして今回一花を説得しに学校まで走ってきた風太郎。最善の策をすぐに考えて提案し、最後まで希望を見せたその姿は本当に頼りになります。だけど途中で「ビジネスだ」と謎の発言をしてしまい(これは一花から「優しいね」と言われたことによる照れ隠しも含まれているのでしょうが)、最終的に一花の説得も失敗に終わってしまいます。いやビジネスって……。

 

 ただしこれに関して補足するなら一花が断ったきっかけになったのは「ビジネスだ」という言葉だけではなく「俺が一対一で教える」というセリフにもあると思われます。本当なら一花も風太郎の近くにいたいけど、そうすると前述したとおり風太郎をとられたくない自分』が出てしまい、また姉妹間でトラブルを起こしてしまいかねない。そうなることを避けるために風太郎の提案も断ったんだと推測してます。

f:id:azumaou:20190720130139p:plain

一対一はダメかも?

 とまあこんな感じで一花の説得が失敗してしまった風太郎なんですが、その直後にあろうことか一花の心配をするよりも真っ先にお金の事を気にかけていました。これではまるで『五つ子をお金の道具として見ている』と言っているようなものです。今までの風太郎を見ていたら到底考えられないことなんですよね。

f:id:azumaou:20190718045053p:plain

金たりねぇ

  といった感じで色々な根拠を上げました。今なお描写されていない風太郎側に「らいはが実は入院していて、金を早急に稼ぐ必要がある」という事情があるのなら、以上の各描写で納得ができるんじゃないかなと思います。まああくまでも予想なので外している可能性もありますけどね。

 

展開予想②:風太郎の今後

 以上のように風太郎のお金が足りない発言を聞いた三玖は「バイトを募集中のお店知ってるよ」風太郎に言うのですが、おそらく今自分がバイトしているパン屋さんの事でしょうね。紹介する時に「そ、それなら……」と変に緊張してたり、照れながら言ってたりしてることを考えたらパン屋さんだろうなって。

f:id:azumaou:20190719002418p:plain

パン屋ですよね

 で、だいぶ前のことになるんですが84話『シスターズウォー七回戦』の感想で
こんなことを言ったんですよ。

 まだまだ上杉家の事情は情報が少ないので何とも言えませんが、もし今の三玖のバイト先の店長さんが風太郎の母親からパン作りを教わっていたとかだったとしたら、それはなんて素敵でロマンチックなことではありませんか。いや、あまり死者に対して軽々しくロマンなどと言う事ではありませんが……。

 おそらくこの伏線を回収してくれるはず……!上杉母→パン屋の店長さん→三玖と、パンの味が引き継がれていくのもストーリーとして中々に熱いものがあると思いませんか?

 

 それから、三玖はおそらく性格的にまだ風太郎に「お料理の学校に行きたい」という事は伝えていないでしょう。なのでパン屋さんで一緒にバイトをするようになった風太郎にそれを告げるんだと思います。そして「夢を見つけてやりたい」と目標を新たに設定している風太郎なら笑顔でそれを肯定してくれるはず。

f:id:azumaou:20190720201718p:plain

夢を見つけてやりたい

 でもね、ここで三玖の夢を肯定した時にきっと『どうして一花の夢を肯定してあげられないのか』という話になってもおかしくないと思うんですよね。今の風太郎にとって『五つ子の卒業』はもはや一つの通過点にしかすぎず、学校という枠を取っ払って女優という次の道を歩こうとしている一花はかつての風太郎の感情で考えてみたら喜ばしいことですから。

 

 という感じで話が進んでいってね、きっとここで上述した『らいはの入院問題』が出てくるんじゃないかと。らいはのためにお金を稼ぐ必要があるんだと。

 

 で、「らいはの望みはできる限り叶えてあげたい」という意識をずっと持ち続けている風太郎はらいはの看病に付きっ切りになるんですが、一花に「フータロー君が本当にやりたいことって何?」みたいなことを突き付けてくるんですよきっと。そしてそこからようやく風太郎が自身の夢を考えるようになるんじゃないかなって。

 

展開予想③:休学チャレンジ 

 我ながらまーたとんでもないこと考えたなとは思うんですが、もしかしたらありえるかも?ちなみに書き忘れてはいますが、『その事は一花には内緒』です。

 

 というのも今回の風太郎が事情があるとはいえ「ビジネスだ」などと言ってしまい、「教師と生徒」の関係に固執してしまうような事を言ってしまったのが断られた原因の一つなのかなと思ってます。

 

 上で風太郎も言うようになったとか書きましたが、学校を辞めることを否定する時に今の風太郎自身の一花に対する思いを添えていれば一花の心も少しは揺らいだんじゃないのかなと思います。五つ子が自分にとって必要不可欠で、一花もそれに例外ではない。そういう事を一花にぶちまければ、きっと戻ってきてくれるのでは。

 

 ただし、一花が風太郎の出した最善策に乗っかることはもう今後一切ないと思っていますので、復帰するならやっぱり上で呟いた内容の通りになるのかなーなんて。わざわざ卒業の条件を描写してくれましたしね!

 

 

 ちなみに変装がバレたら姉妹共々一貫の終わりですけど……いや待て、この高校はもう息子のために不正をいともたやすく行う理事長、たった一人の生徒のためにテストの内容を特別に難しくしたハゲネズミ、人をリボンでしか判別できない生徒指導の先生など、大人である先生方が既にギャグキャラみたいな存在感を放っているので、もう姉妹の変装がバレても絶対問題ないんだろうなとかいう謎の安心感があります(笑)。おそらく皆空気を読んで一花のためにって思って協力してくれますよ。先生も含めて。

 

 学力の方はさすがに一花本人の努力次第ですね。ここに関しては一花の努力と風太郎の指導に賭ける他ありませんが……。まあ風太郎と4姉妹で『全員家庭教師案』を行使すればきっとやり遂げてくれることでしょう。

 

一花は四葉に何を語る?

 最後のページにて。一花が学校を辞める上での最後のお仕事として、ついに四葉の過去の扉を開け始めました。一体何を話そうというんでしょうか?

 

 まずは四葉が過去に風太郎と会ったことがあるのを覚えてるかどうか、という感じで話をし始めますが、一花は『自分が言わなくても四葉なら覚えているはず』と思ってるんじゃないかなあ。

 

 一花は全国模試が終わった後の大掃除で五月が落とした写真を見て「そっか」と言い、直後の修学旅行の班決めの際に四葉に探りを入れていたような事がありましたよね。その時に四葉が小学生の修学旅行の事を覚えているのは分かりましたので、『フータロー君の事も覚えてるんだろうな』と思ってもおかしくないと思います。

f:id:azumaou:20190721185455p:plain

とりあえず覚えてそうだね

 とするならば話すことはただ一つ、「覚えているならどうしてその事を風太郎に言わないのか?」と言った感じになるんじゃないでしょうか?

 

 6年前のあの日、短い時間の間でしか接していなかった一花ですら風太郎の事を自力で思い出せました。ならば、それよりもずっと長い時間を一緒に過ごしている四葉ならとっくに思い出しているはず。なのに「昔俺に会ったことがあるよって人ー?」風太郎に聞かれた時には一切名乗りを上げようとしていませんでした。この時の一花もきっと「どうして四葉は出なかったんだろう」って思っていることでしょう(もっとも、どうして一花もこの時言わなかったのかも一応の謎ではありますが)。

f:id:azumaou:20190721191818p:plain

なんで黙っとんねん

 それに一花は四葉風太郎に好意を抱いていることすらとっくに知っていると思われます。花火大会での二人の会話から、四葉の気持ちも察したんじゃないかなと。なので、一花にとっては四葉が黙っている理由が本当に謎なんですよね。 

f:id:azumaou:20190623072427p:plain

ここでもう察してそう

 (よく考えたら林間学校での一花の心情を追ったら三玖がどうのこうのしか言っていないから、四葉の恋心の有無については花火大会の時も林間学校の時もわかっていない感じでしたね。)

 

 

 とりあえずそんな感じで質問をするんだろうけど、四葉はどう返すつもりでしょうか?ちょっと予測は立てられなかったけど、風太郎の過去に接点を持つ二人の会話がどのようなものになるのか期待していきたいと思います。

 

 

まとめ

  さて、今回はいつも以上に展開予測をしていきましたがいかがだったでしょうか?ぶっちゃけて言えば写真の子の正体が四葉だと判明する12時間前までずーっと五月だと予想していたし、修学旅行の盗撮犯に至っては江端さん一本読みでクソ外しをしてしまった過去があるので、そろそろねぎ先生が提示した謎を自力で当ててみたいな、という意識が前面に出ているのが否定できないですね。前回の花束に関してもそうですけど。

 

 次回は単行本11巻におけるラストのお話ということで、巻末恒例になっている最終話の爆弾が一体何なのか?それから87話『私と姉妹①』との対比的な描写も例によってあるのかもしれませんのでそれを探すのもまた一興。色々な感情が沸き起こるであろう展開を楽しみにしつつ、今回はこの辺で終わろうと思います。

 

 ご拝読ありがとうございました。

 

*本記事で掲載している画像は©春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁」より引用しています。

 

 

93話と91話で記事のサブタイトル同じだったことに今さら気付いた。くっそ恥ずかしい。