五等分の花嫁:112話感想 皆がいるから頑張れる!五人の絆は永遠に……
事の始まりは96話。学園祭を中心とした短いようでもの凄く長かった物語も、気付けばフィナーレ直前です。全11回にも及ぶ『最後の祭り編』の個別シナリオが前回で終了となり、新たに『五つ子の場合』が副題としてあてられました。今回の内容はそのサブタイトルに違わず、後夜祭を一緒に過ごす五つ子達の様子にフォーカスがあたるものとなりました。
既に当たり前になっている『五つ子』という非常に特殊な環境を改めて見直した時、一体彼女達はどのような事を思ったのか。そういった部分をじっくり見ていきながら、今回も感想を書いていきましょう。
後夜祭を回る五つ子達
なぜか後夜祭の色々な場所を回る五つ子達。その最中に、これまでの個別シナリオで起こった事の『その後』が描かれました。
一花はショー君の件でお姉さんからお礼の引換券をもらい、また、女優としての活躍を応援している事も伝えられます。
仕事一本に集中し、ただ与えられた役割を演じきる事だけが女優の全てではなかった。自身が関わった人からの応援を聞く事で、一花は『女優をやってきた良かった』という"やりがい"を見出す事ができました。傍から見たら些細な一件だったのかもしれないけれど、これを境に一花の今後の女優業にもますます磨きがかかる事だと思われます。
二乃は皆から怖い父親・マルオに立ち向っていった事を称賛されました。
おそらくまだ全員に病院であった事を話していない……というよりも『百聞は一見に如かず』の要領で、近々マルオから娘達に話をする時が来るのを待つ事に決めたのでしょう。
『中野家の新しいスタートが切れた』と前回の感想で言ったのですが、よくよく考えたら現段階では『中野家の新しいスタートが切れる状態になった』というのが正しくて、実際にはまだ切れていないんですよね、スタート。
マルオが五つ子に対して、また、五つ子が父親に対して今までに積み重ねてきた家族としての思いをぶつけ、今度こそ『中野家の新しいスタートが切れる』その日がいつかやって来る事でしょう。
三玖と四葉はパンケーキ屋が最優秀店舗に選ばれ、演劇部の公演が表彰された事を互いに称賛し合いました。
誰よりも後ろ向きで暗くて卑屈でネガティブだった三玖がクラスメイトを仲直りさせるために勇気を出して本音をぶつけ、文字通り不可能を可能に変えた事。そして風太郎と出会うまでの5年間に意味がないとずっと後悔し続けた四葉が過去を振り切り、前を向いて歩き始めるようになれた事。
そんな二人は『やるべき事をやり抜けば、どんな結果が出てこようと後悔はない』という事を実感します。
今までの自分では決してできなかった二人の新しい生き方。もしかしたら時には足がすくんで次の一歩を踏み出せなくなる時があるのかもしれないけど、その踏み出せなかった一歩先の世界を見つけ出した事に大きな意義があると信じたいですね。
最後に五月。96話『進み続ける日常』の記事にて、
食べ物と言ったら五月、五月と言ったら食べ物といった具合で『五月と食べ物は簡単に切り離すことのできない関係』にあります。
……と言った通りの事がそのまんま出てきてしまいました(笑)
実に五月らしいですよね。でも、これこそが母親・零奈でも他の誰でもなく、中野五月が中野五月である事を証明しています。
恥ずかしながらも敬語を解除して姉4人に「ありがとね!」と言うのも、ポップコーンの味一つで大げさに悩むのも、まさに五月だけにしか起こりえない現象です。
何にも捕らわれず常に『個』を持ち続ける五月の吹っ切れようは見ていて爽快モノでした。これからもその姿勢を迷わず貫いてほしいものですね。
五つ子でよかった
そんな感じで、同じ場所を一緒に回っているにも関わらずやっている事や考えている事が実にバラバラだった五つ子達。それでも一花が、二乃が、三玖が、四葉が、五月がそれぞれの思いを抱えて自分達が五つ子で良かったと振り返ります。
自分と同じ顔を持つ子が頑張っている。たったそれだけの事なのに、不思議と自分も頑張れるんだと思えてくる。そして自分が何かに一生懸命になれば、それがおのずと他の誰かを奮起させる切欠に繋がっていく。
時にはもしかしたら自分の身に何か辛い出来事が降りかかってくる事があるかもしれない。でも、そんな時でも気付いたらすぐ傍で一緒に悲しんでくれる存在がいる。足を一歩踏み出す勇気を持たせてくれる存在がいる。
今後何があろうとも、『自分達は五つ子』という事実は一生変わりません。しかし、その事実を一緒に受け止め、悩んで、立ち向かって、喜びを分かち合える仲間が自分の一番近い場所に4人もいてくれるんです。
だからこそ五月が言うように、五つ子が五つ子でいるのはとても幸せな事であり、「五つ子でよかった」と心から思えてくるのでしょう。
風太郎の答えは
性格や得意な教科、そして単行本のキャラクター紹介にて「これでもか」という程バラバラな趣味嗜好を持つ五つ子がこれから自分のパートナーとして選んだのが上杉風太郎というただ一人の人間でした。皆が風太郎と姉妹達への思いを胸に秘め、それぞれの場所へと向かっていきます。
初日に風太郎自ら五人を好きだと言って最終日に答えを出すのを堂々と宣言した以上、もはや彼に好意を直接伝えていない四葉や好意すら見せようとしない五月が例外になってしまうような事はないでしょう。一花・二乃・三玖・四葉が自分が選ばれない覚悟を持ち、五月は風太郎から選ばれる覚悟を持った、という見方でいいのでしょうか?
さて、極論を言ってしまえばここで考えるべきなのはたった2つ、
・風太郎は誰を選ぶのか?
・風太郎は全員の所に行くのか?
といった所でしょうか。『五つ子はそれぞれどこで待っているのか?』とか『個別シナリオの扉絵の意味は?』などといった疑問も当然ありますが、それはあくまでも途中経過。四葉一人だけが外に出ている事から「これから風太郎が外まで追いかけて四葉に告白をするパターン」も考えられますが、そこは最終的に「風太郎が誰を選ぶのか?」の答えに繋がる事になりますので、まあそこまで深く考えなくていいかなあ……。
それから、ここまでの話の流れで「風太郎が誰も選ばない/全員を選ぶ」という選択を取る事は風太郎の心理状態から見ても、漫画の構成上というメタ的な面から見ても100%あり得ないと言い切ってもいいはず。
で、自分の考えはというと、まず「風太郎は全員の所に回るのではないか?」と推測しています。
風太郎は一人一人に会うんじゃないかなあ。告白の答えだけじゃなくて、これまでの感謝とかその他諸々を個々に伝えて回りそうな気もする。風太郎が選ばないからと言ってそのまま終わっていく関係ではないんだし。#五等分の花嫁
— 東王@五等分の花嫁専用 (@428AO) 2019年11月26日
もはや風太郎と五つ子は「振って振られてはいおしまい」という関係ではいられなくなっています。中には風太郎に告白をした子だっているわけですし、そういう意味では少なくとも一花・二乃・三玖の所には回って断る/受け入れる返事を為すべきじゃないか?と思っています。
それが次の回で描写されるかどうかは分かりませんが、風太郎の行動を考えるならやはり一人一人の元に行って付き合えない事を告げて最後に心に決めた子のもとへ行くのかなと。
で、肝心の『誰が選ばれるのか?』についてなのですが、ぶっちゃけて言ってしまえば「自分の中では四葉がかなり濃厚、それに二乃、さらにそこを三玖が追っている」という考えでいます。
四葉はいわずもがな、未回収のフラグがあちらこちらに敷き詰められていますからね。ブランコで四葉の距離を超えるor届こうとする風太郎だとか、未だ最終的な解決を果たしていない京都の子の正体とか。そういった点を見れば、四葉が圧倒的に候補として見やすいのは事実です。
しかし、風太郎に恋愛を最初に教えたであろう人物は二乃です。風太郎に一番最初に告白をしたり、バイト先でも自分がどれだけ風太郎が好きか見てほしいのを伝えたりした結果、風太郎の中にあった『恋愛は学業から最もかけ離れた愚かな行為』という意識を変える切欠にもなりました。
そういった観点で見た場合は二乃が最も強いです。これまでに風太郎をドキドキさせた場面の数で言えば、一花と並んでツートップを走っていますからね。伏線などを考慮せず、これまでの風太郎の気持ちを推測するならばやっぱりこっちになるのかなと。もっとも、逆に四葉が選ばれた場合はこれから風太郎がドキドキしていく様子が描写されていくのかなと予想しているのもあるんですけどね。
といった所でとりあえず二択までは自分の中でできあがっています。もちろん二択が外れる事も十分あり得る事ですが(笑) 二乃と四葉がバチバチやりあってるなか三玖が掻っ攫っていく可能性だってありますからね。悩ましい、ああ悩ましい、悩ましい。
個人的には今年の2月にこの漫画を読み始めて一番最初に花嫁予想をしたのが二乃だったので、二乃が選ばれてくれた方が嬉しいかなーという感じですね。四葉推しではあるんですけど、それはあくまでもキャラクターとして好きというやつですし。
色々推測だったり願望だったりを言ってきましたが、後はとにかく『座して待つ』のみですね。といった所で、運命の扉がついに開かれるであろう113話を超絶楽しみにしつつ、今回の記事を終わらせたいと思います。
ご拝読ありがとうございました。
*本記事で掲載している画像は©春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁」より引用しています。
五等分の花嫁:111話感想 中野家と中野五月のRe:スタート
111話を読み終わりました。今回の五月の見開き絵は過去最高と言っても過言ではないレベルの破壊力があり、読了後も1時間近く言葉が出てきませんでした。あの絵はいつ見ても、何度見ても見惚れてしまうくらい素晴らしいです。複製原稿が出たら真っ先に買いたいレベル。
……とまあ皆さんも一目見てお分かりの通り、だいぶウキウキしながら今回の感想を書いています。謎を考えながら記事を書くのも楽しいですが、いい終わり方を迎えた感動を噛みしめながらブログ記事を書いていくのも実に楽しいですね。『五等分の花嫁』に限定したら残り少ない話数になってしまいますが、皆さんも感想ブログを始めてみるのもいいと思いますよ!
と言った前置きをしつつ今週の感想をつらつらと述べていくんですけど……いやあ、ついに来ましたね!
「ついに来ましたね!」って書いた瞬間に「五つ子がムドーと決別する展開」も来たし「マルオがムドーに引導を渡す展開」も来たし「五月が母親を脱却する展開」も来たし「五月が敬語で話さなくなる展開」も来たので何に対して「ついに来ましたね!」と言ったのか自分でもよくわからなくなってくるのですが、とりあえずついに来ましたね!
おそらく読者の皆様にとっては「五月が敬語で話さなくなる展開」が一番衝撃的だったんじゃないかと思われますが、どうでしたか?かく言う自分も大きな衝撃を受けて1時間ほど感想が出てこなかったわけですし。
言葉にするのが難しいのですが、ここの描写は「実に感慨深い」の一言に尽きました。1話からずっと敬語を使うキャラクターとして特徴付けされてきた五月でしたが、物語の途中でその理由が明かされ、さらにそこから脱却する過程までも丁寧に描かれ、トドメにいわゆる「タメ口」で話す。
これを見て何も思わない人がいるだろうか、いや、いないでしょう!などと思わず断言したくなるくらいの奥深さがあの見開き絵にあったと思いたい。今はまだタメ口にたどたどしさ・初々しさばかりが感じられるでしょうが、いつか自然に風太郎や家族へタメ口で喋れるようになれるのを大いに期待しましょう!
実父との決別
実父の娘達への愛情
前回、自分の意志で零奈のような先生を目指すことを決意し、風太郎から勉強を教えてもらう前に「やらなければならないことがある」と言った五月。今回の話の大部分がそれに費やされました。
実の娘が母親と同じ教師になる事を頑なに拒み、『呪い』『歪んだ愛執』『後悔していた』などあの手この手で五月を翻弄してきたムドーでしたが、迷いを完全に断ち切った五月と姉四人、そして上中下トリオの3人が集結してムドーについに引導を渡す事となりました。
前回の感想にて、ムドーの父親としての愛が本当にあるのかを確かめるべく五つ子ゲームをするのではないか?と予想をしましたが、うーん、自分が想定していたものとは違いましたね。5人の中から誰が誰なのかを当てるパターンの五つ子ゲームを連想していただけに、「今回の五月が既に別の姉妹と入れ替わっているのでは?」という疑いを一切持てませんでした。
ここのコマが出てくるまでにこの五月が三玖だと見抜けた読者の皆さんは三玖愛が素晴らしいですね!これは誇りに思ってもOKなレベルですよ!
ところで余談なのですが、マルオが「ここに五月君はいない」と言ったのに対して下田さんや勇也が果たしてどんなリアクションを取ったのか地味に気になってます(笑) 見分けがついていたのか、はたまたついていなかったのか。ついていなかったらいなかったで、それはまあ、何だか楽しい事になりそうな気もしなくもないんですけど(笑)
ちなみに前回でも言ったことなのですが、メディアに露出して顔が世間に知られている一花や直接会って会話をした五月ならともかく全く会話もしていない顔もハッキリと見ていない三玖相手に変装を見破るのはさすがに鬼畜じゃないか?と思うのもありましたが、今回も今回で懲りずに空っぽの愛を言葉に出してしまっていたわけだから別にもういいですよね?これ。
何はともあれ、ムドーの娘達への愛情などそもそも存在しなかった。「心が張り裂けそうな思い」だとか、「罪の意識に苦しみながら」だとか、そう言ったこれまでの贖罪の言葉が全部嘘っぱちである事がようやく今回で証明されました。
「愛があれば見分けられる」。それは他者が五つ子達と向き合い理解していく上で非常に大きな意味を持つ、零奈が遺した言葉です。そしてその言葉をずっと覚えている娘に対し腹を立てて怒鳴るムドー。
塾で会った五月の姿にかつての零奈を見出してしまい、自分が逃げ出してしまった事を思い出してしまったのでしょう。しかしその事実に真っ向から向き合おうとせず、認めようともしなかったために、零奈に関する全てを否定してきました。零奈が選んだ夢を「似合わぬ教職の道」と評した事、零奈の言葉を「いい加減な妄言」と決めつけた事、零奈の全てを受け継ごうとしている娘達の姿勢や意識を「呪い」と言って諦めさせようとしたり忘れさせようとした事、終いには零奈の新しい夫を自分の事を棚に上げておいて「父親としては不合格」と断じた事。零奈に関する何もかもを認めようとしない。これほどまでに独善的だったのがかつての父親の本当の姿だったんですね。
再び余談をば。
あとこれ。娘が先生になる事でムドーの誰にも知られたくない秘密がばれる可能性があるから必死に止めてるのか、ムドーのやり方に零奈から一言もの申されてベテランのプライドが傷つけられたから零奈への怨恨の意味も込めて言っているのか。前者だったら最悪殺人事件が起きても不思議じゃないな……。 pic.twitter.com/9pAbUydh6u
— 東王@五等分の花嫁専用 (@428AO) November 19, 2019
読了後7時間後の感想なんですけど、「自分の非を認められないから零奈の全てを否定したい」だけだったので多少ズレた感想になってしまいましたね。ブログを書いてる最中に本当はどういう事なのかに気付いてしまうと、こういう自分の呟きをどうすればいいのかわからなくなってしまいます\(^o^)/
五月とマルオの思い
一度は零奈の後悔に悩まされてしまった五月でしたが、これまで自分の見てきた母親の姿を思い出して、その人生に間違いはなかったはずだと全力で否定します。
親が子供をよく見るように、子供も親をよく見るもの。零奈がどれだけ苦労をかけて娘達を育ててきたのか、そしてどれだけ親の愛情が注がれてきたのかは娘達にもしっかりと伝わっていました。
命を削ってまで自分達を育ててくれた零奈が自身の人生をどれだけ「間違いばかり」と言ったとしても、その愛情を自分達に絶やす事無く向けてくれていたのは紛れもない事実だった。だからこそ、五月は零奈の人生が間違っていたはずがないと強く言い放ちます。
そしてその五月の言葉を引き継ぎ、裏切られて傷ついた零奈がどれだけ娘達の存在に救われ、希望を見出していたのかを何も知らないムドーに言い聞かせるマルオ。その瞳に怒りの感情を宿らせ、ムドーに本物の「親失格の烙印」を押し付けました。
……何度見てもぐっと来るものがありますよね、ここ。全責任を背負って娘達を全員引き取ったのも、不器用ながらに娘達に愛情を注いできたのも、元々は零奈に対する大きな愛情があったからなんですよね。もはや一片の愛情すらも感じられないムドーとの対比も相まって、相当にマルオがかっこよく見えました。
さらにその上で、五月の将来の夢についてああしろこうしろと口出しをせず見守っていく事を伝えたのも「父親の在り方」として素晴らしい振舞いだったなと思わずにはいられませんでした。
学園祭初日に「こういう時に道標になってくれるのが親の役目なんじゃない?」と二乃が言った事、そして学園祭二日目にマルオが家族と向き合うのを決意した事。その二つの事象が学園祭三日目で交差したのはただの偶然ではなかった、と強く思わせられる瞬間でした。
最後まで零奈に謝罪のなかったムドーに、五月が決別の言葉を伝えます。
ここの五月が、ムドーの愛情を完全に嘘と見抜いて「(あなたにとって体のいい)罪滅ぼしのコマにはなりません」という認識でいるのか、それとも本気でムドーが罪滅ぼしをしようとしている風に見えたのかは分かりません。ですが、どちらにせよムドーはもう手詰まりです。これからずっと、それこそ「呪い」のように零奈への罪の意識が憑いて回る事でしょう。
それでもまだ「僕がせっかく……」と何か言いかけていたので、何かまだ隠されている事でもあるのかな?ともチラリと思うのですが、素直に『自分の非を認められない故のただの悪あがき』だと捉えておきましょう。もうこのおっさんの事を考える必要も理由もないと思いたいですね。
黄昏時の風と月
自身の夢も家族の問題も無事に終わり、一人その場にいなかった風太郎の仕事を手伝う五月。
かつて母が亡くなった時に代わりとなって皆を導こうと決意した事を風太郎に話した事がありましたが、その本当の理由は「寂しいという心の隙間を埋めるため」でした。
日々を過ごしていく内に自分が五月なのか?それともなり代ろうとしていた母親なのか?それが分からなくなってしまい、自分の夢が本当に自分の夢なのか自信を失ってしまいました。そんな彼女に対して五月が母親とは違うんだという事を教えてくれたのが、他ならぬ風太郎だった。
五月はその感謝の気持ちを第一に伝えるべく、「母脱却」と称して敬語を解除し、
君だって私の理想なんだよ
それだけ聞いてほしかったの
と、憑き物が取れたような微笑みを浮かべて風太郎に言うのでした。
率直に言って今までで一番可愛かったです。というか五月の大きめな絵はどちらかというと「可愛い」よりも「美しい」の方に傾いている印象がありました。それは零奈の面影をそこそこに意識して描いたからだと思うんですけど、今回では先ほど述べた『母脱却』をより強く意識させるために「可愛い」に全振りしたのかなとも思いました。
五月は花嫁?
ブログを書く日付がガラリと変わり、この際思いっきり話題を変えるのですが、皆さんもご存じの通り、今回で五月編が終わる(と思う)にも関わらず、五月は風太郎にキスをしませんでした。
五月が階段から降りてくるシーンでは、おそらく読者の大多数の方々が「ついにっ!?」と思い、次のページを恐る恐る開いたことでしょう。僕は完全にそんな感じでした。
しかし、五月は風太郎にキスをせず、外の風景に目をやって世間話をするに終わりました。また、上述した見開きのコマとその前後を見ても、五月が風太郎に対して「好き」の感情を示しているシーンも当然ありません。
これはハッキリ言って想定外でした。先の4人の話で連続してキスシーンがあったため、五月も姉と同じようにどんなストーリーだろうと最終的に『風太郎への恋心』に話が直結し、キスをするシーンが描かれるのではないかと予想していたのですが、それは大きく外れましたね。
四人のキスシーンが描かれ、五月だけ描かれない事で『五月が特別な人 =将来風太郎と結婚する花嫁になる人』という構図もあるのかもしれませんが、自分は今回の描写を見て、五月は花嫁候補から外れたと見てもいいのかなと思いました。
そもそも今回の長編は『五つ子が風太郎に全てをぶつけ、風太郎が誰か一人を選ぶ』という感じに位置付けられていると推測できます。それは『スクランブルエッグ』『シスターズウォー』の時とは違い、恋愛面で受け身だった風太郎が初めて能動的に動いた長編だからです。
それなのに、姉四人が既に「好き」という感情を表す以上の行動を各自しているのに(四葉は認識されませんでしたが)、五月はそもそも恋愛感情を示す段階にすら至っていない。
敬語が解除された事で本格的にヒロインとして風太郎争奪戦に参戦か!?と期待する人も多数いると思いますが、「いや全く参戦してないのでは?」というのが個人的な意見です。キスはしないまでも、せめて風太郎の前で恋愛感情のカケラでも見せてくれればあるいは……という感じでした。
上記のような感想を抱くのも、やっぱり『スクランブルエッグ』の鐘キスの存在がとても大きいからなんですよね。ものすごく素直な考えをぶつけるならば、あの場面は「風太郎にキスをしたいから近づいて、あのキスを求める姿勢をし、風太郎とキスをした」と見るのが一番妥当なわけです。
この作品はミステリー要素もありますが、基本はラブコメ漫画の路線で走っています。そういった観点で見れば『各キャラクターの恋愛感情にも焦点が当てられるべき』という思いも当然あります。
なので単純に『鐘キスの時点で恋愛感情が全く見られなかった五月はその後どういう展開になろうとも花嫁に成り得ない』というのが自分の考えで、それをどうにかしようとして『五月は林間学校の時点で恋愛感情を持ち、自覚している』という論を出したんですよね。で、四葉のように『後から恋愛感情を持っていた事がわかるような描写』がやって来るんだろうなと思っていました。
詳しくは92話『秘密の痕』に書いてありますので、時間に余裕のある方はどうぞご覧くださいませ。
そして『高校最後のイベント』と銘打って描かれる学園祭編が五月にとって恋愛感情を風太郎に示す最後のチャンスになるだろうと思っていたのですが、結果は敢え無く……と言ったところです。
五月個人の物語として、また、中野家が一つになるという意味において『最後の祭りが五月の場合』はとても感動的で見応えのある回であったと断言できますが、それと同時に五月が花嫁候補ではあり得ないと考えてしまったのも事実。
もはや大事な部分の予想をことごとく外すことに定評のある自分ですが、果たしてこの予想も外れてしまうのか否か……何はともあれ、今後に期待していきましょう。冒頭の「ウキウキしながら感想を書いています」とは何だったのか……
まとめ
決意を再確認して母親になる事から脱却できた五月の、そして血が繋がらずとも絆を一つにする事のできた中野家の輝かしい再スタートが切られた、素晴らしい回でした。
これでようやく五月回も終わったと思いますので、次回はついに後夜祭の描写がなされるのではないかと予想しています。一花回で「特にすごい」と言われていたので、それに関する出来事が起こるのではないでしょうか。
102話の感想記事で『風太郎が全校生徒の前で誰かに盛大に告白するのでは?』という予想を立てましたが、そもそも初日の段階で五人に告白していますのでその可能性はなさそうかなと。
それとキャンプファイヤーがある事から、林間学校の伝説になぞらえて『最終日に踊ったカップルは結ばれる』という伝説があるのでは?といった推測もしていましたので、そちらにシフトしていきましょうか。
それから『最優秀店舗』という単語もちょこちょこ出てきたので、おそらく3年1組のパンケーキ屋が選ばれてくれることでしょう。
ぶっちゃけて言えば100話の「待たせたな」の後の描写がなされるのか?それに尽きます。今までもねぎ先生はちょろっとだけ先の展開を読者にお見せして次週へ持ち越すパターンも何度となくありましたので、もしかしたら次回で風太郎が選んだのが誰かわかるのかもしれません。
ただ、これまでの巻末の回を見ると『5巻で零奈登場・7巻で二乃の告白・8巻で鐘キス・9巻でボート零奈=五月だと判明・10巻で京都の子=四葉だと判明』という感じにカミングアウトして終わっていった事も考慮すると、やはり次回は風太郎が誰に告白するのか不明なまま終わりそうな気もしますね。
一つだけ言えるのは『ねぎ先生がいきなり爆弾を投げつけてくる可能性も決して0ではない』という事でしょうか。何かのはずみでもしかしたら京都の子の正体を当ててしまうイベントも発生するのかもしれません。ともあれ何が起こっても驚かないように心構えをしておいた方がいいのかなと思いました。結局驚くんだろ?とは言ってはいけない。
五人の話も終わっていよいよクライマックスが見えてきた学園祭編。高まる緊張感を楽しみつつ、今回はこの辺で終わろうと思います。
ご拝読ありがとうございました。
*本記事で掲載している画像は©春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁」より引用しています。
五等分の花嫁:110話感想 五月が見せた心の叫び!この願いは間違いじゃない……!
110話を読み終わりました。率直に言って今回も素晴らしかったです。何度読み返しても心の内側から燃え上がるような感情が沸き上がってくるのがわかります。決してバトル漫画じゃないハズなんですけどね、この作品。
さて、本編の内容については後でしっかり述べるので先に物語の構成の話するのですが、『最後の祭り編』の一花回・二乃回・三玖回・四葉回は2週で問題が片付き、風太郎にキスをするまでに至りました。しかし、今回の『五月の場合②』では五月の心の問題が片付いたのみで、実父に関する問題に対してはカタが付かなかったですし、風太郎へのキスもありませんでした(そもそも風太郎にキスをするのかという疑問自体はまだ残っているのですが)。
前回の記事で「次で五月回が終わるでしょう」と言ってたのもあって話がまだ続くことになるのはあまり考えていなかったものですから、この展開には正直驚きでした。まあ……そのおかげで今も体中に熱い感情がみなぎっているので万事OKなんですけどね!
そんな前置きをしつつ、五月の夢を否定したムドーが自らの正体を明かした後で何が起こったのか、見ていきましょう。
無堂の素性について
実父だと告げたムドーと五月のその後の会話で、ムドーは零奈のお腹に五つ子が宿っているとわかった途端に姿を消したことが分かりました。五つ子が生まれた時には既にムドーは失踪していたため、おそらく零奈は苗字を「無堂」から旧姓に戻したのでしょう。だから五月は顔だけでなく「無堂」という名前を聞いても全く反応していなかったのですね。
前回ではお金の事も合わせて「零奈がムドーのやり方に異を唱えたからベテラン教師としてのプライドで零奈を許せなくなってしまい、愛情も失って離婚を考えたのかな」と予想していましたが、こうなると単純に合計7人の家族を養える財力がなかったから失踪したという見方が強いのかなと思いました。
これはもう、擁護のしようが全くないと言わざるを得ません。これから親となる者が背負うべき大きな責任を何一つ果たそうとせず完全に放棄したのですから。もしもムドーがもっと誠実な人間で、零奈の出産から子育てまでサポートできた良き夫であったなら、零奈が早くに亡くなる事はもしかしたら無かったのではないか。そう考えるとやりきれない思いで一杯になります。
そんな父親として失格者であるムドーが「ずっと後悔している」「心が張り裂けそうな思いだった」「罪滅ぼしをさせてほしい」という懺悔を次々と口にしたところで、それらは全て薄っぺらで中身の伴わない表面だけの言葉にしか聞こえません。というか事実そうやろ!
しかも自らの行いを深く反省して悔いている素振りを見せながら、あろう事か親代わりとなってくれたマルオが五つ子の父親としての素質を有していないと指摘する始末。
「零奈が死んだ時、マルオが娘に何かしたか?」とムドーは問うのですが……。
そうですね、何をしたかと問われたので答えましょうか。マルオは残された五人の娘達を一人残らず全員引き取ってくれました。人が生きていく上での基盤となる衣食住の環境を全て整えてくれました。そして娘達を全員中学にも高校にも通わせてくれました。全ては親になる事を決意した自分の責任を全うするために。
簡単に言いましたが、それが想像よりもどれだけ大変な事なのか?どれだけのプレッシャーを日々感じながら過ごしているのか?お子様をお持ちの方なら特に自らの経験を持って理解して頂けるだろうと存じます。
確かにマルオは普段から五つ子を放置していたと見られてもおかしくない場面も多々ありました。しかしそれは決して「子育てが面倒臭いから」などではなく、「零奈の死を受け入れる心の準備ができておらず娘達との距離を測りかねていたから」でした。事実、学園祭二日目の夜にその問題が解決したマルオは零奈の死を受け止め、残された娘達にも家族として、父親としてしっかり向き合っていく事を決意しました。
だからこそ、このムドーの問いかけは『子育ての苦労を全く理解すらしていない人間の言葉』にしか聞こえませんでした。
そもそもその問い掛けの答えがいきなり『娘の夢が云々~~』となる道理がありません。親の役目は、まずは自分のパートナーと共に子供を健やかに育てあげる事です(もちろん、自分自身やパートナーも健康に過ごせるようにする事も大事です)。そして育った子供が自分で夢を見つけたなら、そっとその背中を押してあげればいい。夢に悩んでいるようなら話を聞いて「自分が将来やりたい事」を見つけ出すサポートをすればいい。そのうち子供が「現実」を認識する時が来るとは思うけどそれは別の話だし、その頃には子供もしっかり成人していると思うので今回はあまり考えなくていいよね。
父親は失踪して、母親が他界して、新しい父親は放置気味で、自分達はとんでもなくお馬鹿さんで。
— 東王@五等分の花嫁専用 (@428AO) November 13, 2019
こんな状態なのによく五つ子って不良にならなかったよな……といつも思う。それだけ零奈の躾とマルオが整えた衣食住の環境が良かったんだろうなあ。#五等分の花嫁
自分の呟きになりますが、悲惨な状態であった五つ子がグレる事もなく不登校にも不良にもならなかったのは、二人の親がやってきた事に間違いじゃなかったんだなと再確認させるものでした。
振り返れば『私と姉妹①』でも同じように言及してましたね。
零奈の死後、基本的に頭がおバカな五つ子だけど、おバカだからといって不良少年少女のように道を踏み外すようなことは決してしてこなかったのでしょう。そして楽しいことや辛いことの全てを姉妹で分かち合ってきたことでしょう。全ては零奈の存在が、零奈の言葉が、零奈の願いがあったからなんだろうなあ。そう思うと胸が締め付けられる思いで一杯になってしまいます。
少し話が脱線してしまいましたが、とにかく。上記全ての過程をすっぽかした挙げ句、実の娘が自分で見つけた夢を上から叩き潰そうとするムドーの姿勢はどう足掻いても納得できるものではありませんし、ああいった問い掛けをする事自体が大変おこがましい話であると自分は思いました。
母への憧れ
それでも、五月はそのムドーの言葉を聞いて激しく動揺してしまいます。それはムドーの言葉によって最愛のお母さんの言葉を思い出してしまったから。
前回でも似たような事を言いましたが、この零奈の言葉は間違いなく無堂という男と結婚してしまった後悔からくる言葉なのだろうと思われます。五月は『零奈が教師になったことを後悔している』とただ勘違いしているだけ。だからその勘違いを正してあげる事が五月の復活に繋がるのではないか?と前回思っていたのですが、最終日にペンタゴンに言って風太郎がとった行動は別の方法でした。
「絶対にならないで」と言われても、気付けば母親を目指してしまっている。どうしても目指したくなってしまっている。その願いは間違っているのかと涙を流しながら風太郎に訴える五月。
五月は零奈と無堂の言葉を必要以上に深く聞きすぎてしまっていたがために思い悩んでしまい、自身の進むべき道を見失ってしまいました。だからこそ風太郎は「他人の戯言なんて聞く価値もない、進むも諦めるもお前が決めろ」と強く指摘します。
そもそも、五月が教師になりたいと思った一番のキッカケは『最後の試験編』で風太郎が見出した全員家庭教師案にありました。自分の得意科目を他姉妹に教える事で、風太郎が家にいない時でも各自の成績を向上させていく作戦。
その最中、四葉がわかりやすい授業をしてくれた五月に「ありがとっ」と感謝をするのですが、その言葉を聞いて自分の心に生まれた気持ちを大切にしていきたいと思ったからこそ、五月は教職の道を目指すようになりました。
誰かに言われたからではなく、ましてや母親がそうだったから選んだわけじゃない。ただ「自分がそうしたい」と自然に思ったからこそ選び取った道です。零奈はただ自分が選んだ道の向こう側に立っているだけ。だからこそ母親を憧れ、目指したいと娘が願うのは至極当たり前な感情であり、それを間違いだと断じる理由なんてどこにもありません。
今まで自分が見聞きした全ての経験から、そして自分の知っている強く凛々しく優しい零奈の姿を思い浮かべ、ついに五月は意を決して風太郎に自身の思いを力強くぶつけます。
お母さんのような先生になりたい!
私は私の意志で母を目指します
道を見失うような事は決してしない。そんな五月の全身全霊の誓いを聞き、家庭教師としてその願いを全力でサポートする事を約束する風太郎でした。
それから提案された五月の申し出は、一年前に食堂で初めて会った時の光景そのものでした。
碌に目も合わせようとせず赤の他人のまま終わろうとしていた二人の関係は、一年の時を経てお互いに信頼し合えるパートナーへと大きく変わりました。真正面から目を合わせて即「勿論だ」と返す風太郎はどこまでもカッコよかったし、そもそも風太郎がそう言ってくれるだろうと信じて頬を赤く染めながらあの時と同じ言葉を投げた五月も中々に良かったです。
やらなければいけないこと
確かな決意を持った五月は、再びムドーに会いに行こうとします。どれだけ否定されようと、自分の夢を貫いていく事を伝えに。
また、その一方で姉四人が集まって何やら話をしています。二日目の夜に風太郎から話を聞いた一花が皆にムドーの存在と、五月がムドーと接触した可能性がある事を伝えるのでしょう。
さあ、五つ子ゲームの時間だ!#五等分の花嫁 pic.twitter.com/2XJS9toWIS
— 東王@五等分の花嫁専用 (@428AO) November 12, 2019
一周目でピキーン!と来ました。まあこれに関してはムドーがこの作品に出てきた理由が『五つ子を愛で見分けらるか否かの象徴として描くため』と予想していたからというのもあったからなんですけどね。前回の記事で「五つ子を愛で見分けられるようになった風太郎」と「五つ子を愛で見分けられないムドー」を対比で描いてくれるんじゃないかと書きましたし。
ただ、冷静に考えると本当に五つ子ゲームをするのかどうかは不明なんですよね。ムドーは二乃と三玖の前に姿を現しているにも関わらず何の言葉もかけなかったわけですから、その時点で父親としての愛なんて……といった所です。
ただしムドーはメディアに露出している一花と直接会った五月だけしか顔を知らないわけですので、一目見ただけで二乃と三玖が自分の娘であると判断するのは非常に困難なのもまた事実です。
そういう事情も考慮して、やっぱり実の父親にも一度はチャンスを与えるという事で五つ子ゲームを実行する可能性はあるのではないでしょうか?ちなみに変装セットは一花の話によると常備しているとの事なので、やろうと思えばすぐに五つ子ゲームはやれます。
ただし、五つ子ゲームをやるとなると一つ大きな問題があるわけでして……
対ムドー戦で五つ子ゲームをするんじゃないかって予想してたんだけど、もし仮にするならレベル1(ドッペルゲンガー作戦)なのかレベルMAX(五月の森)なのかどうなるのかが気になる。後者だったらマジで読者の愛が試されるぞw#五等分の花嫁 pic.twitter.com/xuDmHnoC88
— 東王@五等分の花嫁専用 (@428AO) November 14, 2019
五月の森だったらそもそも自分が五つ子を見分けられるか不安やわ(笑)
あともう一つ、五つ子ゲームとは別にマルオが三日目の学園祭に顔を出すのか?という問題もあります。マルオは二日目にお休みを取っていましたからね。
だけど、ムドーと決着を付けるべきなのは五つ子と風太郎だけではありません。どちらが五つ子の父親として適格なのかも決めなければならない以上、マルオもその場にいた方がいい……というか実の父親へのトドメのセリフを吐くのは是非とも真の父親であるマルオに言ってほしい所存です。
一花がムドーの存在を教えたなら、きっとその時に二乃が二日目の病院であった事も皆に伝えることでしょう。そして家族に緊急事態が発生したとあらば、連絡を受けたマルオが学校まで飛ばして来る事は可能かもしれません。来てくれ、マルオ!
まとめ
五月の夢がより強固なものになった事が示された110話でした。冒頭で述べた通り、それでもまだ実父の問題と五月の恋心について完全にケリが付いたわけではないので、次週以降の話が『五月の場合』になるのかどうかがわかりません。
四人が風太郎にキスをして終わっているので、それが済むまでは『五月の場合』が続くのかもしれませんし、ここで『風太郎の場合』と銘打って風太郎視点での学園祭の様子が描写されるのかもしれません。さらには、最後に五つ子が勢揃いするであろう展開を見越して『五つ子の場合』となるのかもしれませんし、はたまた、99話・100話と続いたのに一度途切れてしまって全体の内容がわからなかった『日の出祭 三日目』がやって来るのかもしれません。
どれやねん!と思わず突っ込みたくなる気持ちになりますが、まずは実父問題を片付けましょうか。13巻のラストの話になるであろう113話は100話の続きとして描かれると思われますので、ムドーには早々に退場して頂きたいものです。
そんな感じで前回予想した展開を今回も期待しつつ、この辺で終わろうと思います。
ご拝読ありがとうございました。
*本記事で掲載している画像は©春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁」より引用しています。
五等分の花嫁:109話感想 焦り、後悔、戸惑い。五月の信じた『夢』は今――。
『最後の祭り』編も気付けば8週目が終わって9週目に突入です(もう10週目に突入直前だぞとか言わないでください。死んでしまいます)。前回の四葉の物語がああいった形で終わったために多くの読者の方々が感動や興奮冷めやらぬ、と言ったところでしょう。そして今回から始まる五月のストーリーを大いに期待していた方も大勢いたように思われます。
まあしかし……結果としては阿鼻叫喚の地獄絵図のような光景が繰り広げられていましたね。ツイッターでの皆さんの反応を見る限り『私とある男子②』にはさすがに劣るものの、少なくない叫び声が至る所から飛んでいたのを記憶しています。
というのも、今回で『無堂』と呼ばれる五月の実父がついに登場してしまいましたからね。養父ではなく、本物の父親が。そしてその言動を見ている限り、この男は五等分の花嫁という作品の中で初めて出てきた『不穏な空気をもたらす存在』として物語に食い込んできました。江場部長も初めはそんな感じだったじゃんとは言ってはいけない
かくいう自分も、今回の展開に関しては「来てほしくはないんだけど、ついに来てしまったか……」といった感じでした。99話で出てきたあのおじさんが何もなければどれだけよかったか、と思うばかりです。
……といった前置きをしつつ、この男が出たことで空気が一変した今週の五等分の花嫁。その全てをじっくりと見ていくことにしましょう。
最終日の五月
さて、『最後の祭り編』その①恒例の気になる扉絵ですが、五月はどこに行くでもなく、教室の自分の席に座っていました。
僕の記事を毎回見てくださっている方ならお分かりの事と思いますが、『二乃の場合①』、『三玖の場合①』、『四葉の場合①』の各記事で口が酸っぱくなるくらい五月が自分の席に座っている事を予想していたんですよね。それがなんとまあ当たってしまったわけです。
二乃回
ちなみに余談ですが、四葉は教室の後ろ側で立っていて、五月は自分の席に座っている、そして三玖は三玖で他姉妹よりも返事を聞く心構えはできているので人事を尽くして天命を待つような表情をしてるのかなと個人的に予想してます。どうでもいいか。
三玖回
姉妹が同じ教室に招集させられているのか、そうでないのか?三玖回をもってしても全く分かりませんでしたね。これは5人目になっても分からないままかなあ……?とりあえず二乃回でのちょっとした予想を続けるなら、四葉は教室の後ろ側、五月は自分の席ですね!
四葉回
という事で二乃回で割とどうでもよさげにやった『四葉は教室の後ろ側にいる』という扉絵予想は外れでしたね。残念!でも僕はまだ五月が自分の机に座っている可能を諦めませんよ!
うん、何と言えばいいんでしょうか。当たったのは素直に嬉しい。それは間違いないですね。事実、このページを見た時に「やったぜ」と思ったのは確かでした、うん。だけど常に予想を外している自分としてはもっと大事な局面での予想こそ当たってほしいものだから、パッとしない場所で当たっちゃったなあっていう思いもあるわけで、うーん(笑)
そもそもなぜ五月が自分の席で座ってる予想をしたのか、一応理由はあるんですよね。振り返ってみれば、他姉妹に比べて五月が席に座っている描写はそれなりの数があった事と思います。
二年生の時は姉妹の中で唯一風太郎と同じクラスだったのでどうしてもその描写が多くなってしまうのですが、三年生になってからもその傾向は続きます。
……と言った具合でした。そういう描写が多かったのもあったので、五月はきっと自分の席だろうなという推測したわけなんですね。 もちろん誰かの席に座っているだけで自分の席だという確信はないのでそこを突かれれば黙ってしまいますが、まあそんな所をツッコむ人はおらんやろ!
さて、これで五つ子全員の立ち位置が判明しましたね。一花も三玖も恐らく3年1組のすぐ近くのベランダ・廊下にいることでしょうから、ただ一人四葉だけがキャンプファイヤーの所にいる構図になると思われます。やはり四葉のポジションが際立っているのが見てわかりますが、果たして果たして……といったところです。
気になること
今回は物語を順々に振り返らず、実父の件で気になることがたくさんあるのでラッシュで詰めていきましょうか。
これまでの印象
そもそも五つ子達の実父についてはこれまでにあまり情報が出てきていませんでした。しかし、その少ない情報の中だけでも『とんでもない人間性』を持っている事が推測できます。
まず最初に出てきたのは、林間学校で風太郎との男女仲を気にする五月が零奈の「男の人はもっと見極めて選ばないとなりません」という言葉を思い出す場面ですね。
このブログでももう何回も書いてきた言葉です。
一花がこの後「フータロー君はお父さんとは違うよ」と言うのですが、これがマルオの事を言っているんだなと考えている読者は今なら0人だと断定してもいいのではないでしょうか。亡き母・零奈の後悔とも取れるセリフ。その対象は実父であるムドーだった。
次は、『7つのさよなら』で五月と風太郎が夜に会話を交わした時の事でした。ここでは零奈がマルオと再婚するまで女手一つで五つ子を養っていた事がわかりましたね。
この件で今さらながらに思い出した事が一つありました。子供持ちの家庭が正式な形で離婚をする場合、子供が一定の年齢に達するまで、子供を育てない側の親が育てる側の親に養育費を支払う義務があります。
もちろん養育費の取り決めをせずに離婚してしまった場合でも、育てていく側の保護者がもう片方の保護者に養育費を請求する権利があります。なので、貧困問題に関しては零奈がムドーに養育費を請求できれば解決できた問題だったと言えます。
しかし実際にはそうならなかった事を考えると、正式な形での離婚がなされなかった=実父は失踪したのではないか?と推測する事が出来ます。ムドーも同じくらい貧乏生活をしていたのなら話は別ですが、進学予備校に特別な講師として招かれるレベルとなると教師としての能力はずば抜けている事は想像に難くなく、特に食いっぱぐれる事もないと考えていいでしょう。
そして最後。『私とある男子①』で零奈が亡くなった後の話です。
今さらすぎる事なので言うまでもありませんが、零奈の死後も娘達を引き取るどころか顔を見せに来る事すらありませんでした。零奈も娘達の事も本当に思いやっていない何よりの証拠です。
以上3点から、五つ子の実父は登場する前から『家族をないがしろにするような人間』としてインプットされていきました。
ムドーを知る人物達からの評価は
学園祭編が始まってから、勇也が妙な言動をするようにもなりました。風太郎が三玖と水族館デートをする日の朝には中野医院に行ってマルオに「同窓会しようぜ」と言ったり、かと思えば夜にも上杉家を尋ねてきた五月に「何もなかったか?」と聞いたりしていました。
これらの動きに対して予想された声も多くありましたが、勇也はムドーが姿を現し、五月と接触していないかどうかを心配していました。勇也の目からはとてもじゃないがムドーが『できた人間』ではない様に映っていたのでしょう。
そしてそれは勇也だけでなく、勇也の同級生である下田さん(ここ、もう断定していいよね?)も同様でした。『変わり始める日常』の時に五月が話した有名な講師こそがムドーだったのですが、下田さんはその事を知っていたからこそ、五月には何も言いませんでした。意図しなかった五月の来訪に対して「来てしまったか……」といった空気を醸し出していたのは、そのためですね。
そう言えば有名な講師と言えば江端さん一点読みをしていた記憶があるのですが、それは大外れでしたね。江端さん、76話『男の戦い』以降姿を見かけてないんだよな。久しぶりにあの阿多辺丸男スタイルを拝みたいぜ全く。とまあそんなことは置いておいて……。
勇也・下田さんですらこの具合なので、後に零奈の再婚相手となったマルオの胸中たるや……という感じですよね。勇也の言葉に対して無関心(?)を貫いていましたが、その心の内側ではどうなっているのか。そりゃあもう恩師の零奈先生と娘達に貧しく辛い思いをさせたとして腸が煮えくりかえっている思いで一杯なんじゃないかと予想はしてるのですが、これからムドーと直接対面を果たすだろうその時にどのような行動をとるのでしょうか?
そもそもなぜムドーが現れたのか?
竹林が四葉を探していたように、ムドーもまた五月を探していたような気もしなくもないですが、その目的は一体何でしょうね。
もちろん表向きには『実の親として娘達を引き取りに来た』となる展開になる事でしょう。過去に何からの理由があって零奈と娘達の前から姿を消し、音沙汰なしの状態だったけど、十数年ぶりにこちらに戻ってこれたから親の責任として娘達を引き取る事を決める。そういう筋書きも十分考えられることでしょう。
ですが、正直に言ってムドーがそういう理由で実の娘に近づいたとは到底思えないのですよね。それは上述した悪印象が目立ちすぎる点、そして今回の物語で「実の父親だと言うのに娘が自ら見つけた夢を否定するとは何事か!」と個人的に反発したい部分がある点からの推測なんですけれども。
じゃあ本当は何が目的なんだろうかと色々考えてみるのですが……まあサッパリですよね。
そもそもなぜ零奈と結婚して五つ子が生まれたのに彼女達の前から姿を消したのか?その点から考えないといけないのですが、どうにも現状を把握しきれていないので判断のしようがないんですよね。
一応考えられる根拠はあるので書いてみましょうかね。一つは零奈に対する憎しみの感情から姿を消した説。一度は結婚したものの、今となっては零奈が憎くて溜まらないのではないか。そして『歪』『破滅』『呪い』……ムドーの言葉のチョイスを見る限りそんな印象があると言えばあります。
ムドーの口からは零奈は教師としての適正がなかった事を言われますが、もしかしたら零奈がムドーのやり方に何か異を唱えた事があるとかで、ベテラン教師としてのプライドがあったためにムドーは零奈を許せなかった……とか。
それに付随して挙げられる根拠がズバリ『お金』です。最初はまだ余裕のある生活ができていたのかもしれないけど、5人ともなると莫大な費用が掛かってしまい、いずれ貧乏生活が来ることは避けられなかった。
そして前述した通り、零奈がムドーの機嫌を大きく損ねるようなことをしてしまったため、愛情も消失して離婚を考えるようになった。だけどいざ普通に離婚してしまうと養育費の問題も出てきてしまう。それをどうしても避けたがったゆえに失踪した。そして十数年後、自身が有名な講師としてある程度財力のついた現状を見て、何食わぬ顔(?)で実の娘達と接触を図った。
もしかしたら一花がCMに出ているのを見て、今なら昔ほどお金を出さずに済むと考えたから戻ってきたのかもしれませんね。
そこらへんは次回の話で分かる事だと思いますので期待しておきましょう。
メタ推理から見るムドー撃退法
先ほどのムドーが登場した理由に関して、あと一つだけ。物語のメタ視点で考えた場合の話をするのですが、『五つ子を愛で見分けられないムドー』と『五つ子を愛で見分けられるようになった風太郎』の対比を演出するためにムドーを登場させたのかなとも思いました。
前回の学園祭三日目の四葉と風太郎の会話を思い出していただきたいのですが、この時の風太郎って零奈に対して驚くこともしてないんですよね。という事から、もしかしたら学園祭三日目のどこかのタイミングで五月が零奈に変装をし、風太郎の前に現れたのではないか?と予想しました。
五月が零奈の姿をする理由は二つ。一つはムドーから姿を隠すため。もう一つは自分が零奈になる事で生前の零奈が何を思っていたのかが少しは分かるのではないかと思ったためでしょう。
で、さらにもしかしたらの話をするんですけど、零奈の格好で現れた五月を見て風太郎がそれを看破するような事もあるのではないか?と思いました。
場所・シチュエーションの反復が多い最後の祭り編。もしかして五月の反復は林間学校の時みたいに零奈の変装を風太郎が見破るんじゃないか説。そして風太郎に『愛があること』、ムドーに『家族に対する愛がない』という事を同時に証明させるのではないでしょうか。#五等分の花嫁
— 東王@五等分の花嫁専用 (@428AO) November 8, 2019
皆さんもご存知の通り、『最後の祭り編』はそれぞれ何かしらの形で反復している描写が多いんですよ。で、五月の場合だったらどんな反復がやってくるのか、零奈の変装もしていたであろう事も合わせて考えた時に『林間学校で一花に変装していたのを見破った事』がパッと頭に思い浮かんだんですよね。
零奈の変装を見破る風太郎。そこには紛れもなく五月に対する『愛情』があったから。それが『恋愛感情』なのか『親愛の感情』なのかは後回しにしますが、とにかくそういう展開が待っているのではなかろうかと。
そして『零奈=五月』を見破れなかった実父には愛情がないから「父親の資格はない」とバッサリ切り捨てられるんですね。その場にマルオもいて「今後一切私の娘達に近づかないでもらおうか」とか言ってくれればすごい気持ちいいんだろうなあ。
投稿前追記:もしかして「なぜ零奈がいるんだ!?」と驚くムドーに「あれは零奈じゃねえ。そうだろ?五月」みたいな感じになるのではないか説。そうなったらすっごい感動的ですわ。そうなってほしいっす。
……はい。妄想が過ぎましたが、概ねそんな事も考えていました。なあに、『らいは入院説』とか『学園祭のポスターを見て四葉が日程を間違える説』とか唱え続けて大外しした過去があるので今さら外すことは恐れませんよ!
とまあムドーに関してはこんなところでしょうか。『そもそもムドーは本当に実父なのか?』『五月以外の五つ子は知っているのか?』『無堂という苗字が実は偽名だったんじゃないのか?』などといった点も少し気になるのですが、今回は(今回も)時間がないので割愛します。顔は十年以上見てないなら忘れていても仕方がないのですが、さすがに苗字が聞き覚えあるものなら例え五月でもさすがに気付くと思うのですが……。
五月の夢
そもそもの話ですが、今回の『最後の祭り』編の五月回でのテーマは自分の夢についてでした。『最後の試験』編で「誰かの支えになりたい」という自身の在り方を見つけ、零奈の墓前で先生になりますと誓った五月。
苦手だった勉強が「今では楽しいもの」となっているのは、かつて二乃が言っていたような分からない問題が少しずつ解けるようになっていく嬉しさだけではなく自分の夢に向かって着実に一歩ずつ進んでいる証拠の表れでもあります。
修学旅行が終わってからも大学受験を常に意識している様子でしたし、本格的に自分の行くべき方向性を見定めている事も分かっています。なので、五月に関してはもう夢について心配する必要はないだろう……と思っていたのは『分枝の時』までの話でした。
学園祭編が始まってからは、自分の思いに反して成績が伸び悩んでいる様子がそこかしこで描写されていました。やっぱり頭の悪い自分にとって教師という職業は分不相応なんじゃないか……。そんな不安が脳内にこびりついて離れなくなっている五月。そんな状況の中でムドーは姿を現し、五月の夢を「母親と同じ道をたどってほしくないから」という理由で否定しにかかってきましたわけですね。
ちなみにその際にムドーは「零奈は似合わぬ教職への道に進んだ事を後悔していた」と五月に言うのですが……
これ、ムドーと出会って結婚したことですよね!?
……としか思わなかったですね。もう、スッパリと。だってねえ、ファンクラブも作られるほどに皆から慕われ、一部の教え子達の未来に多大なる影響を与えたんだから、零奈が教師になって後悔したっていうのはちょっと考えられないのではないでしょうか。
五月はおそらく教師になった事を後悔していると勘違いしているものだと思いますが……これは次回で解決してくれる事を期待しましょう。もしかしたら二日目夜に五つ子と真の意味で家族になれたマルオが零奈のメッセージを五月に伝えてくれるかもしれませんしね。
どのような形にせよ、もしも零奈が教師として後悔していないことを知ったとなれば、おそらく五月は立ち直れるのではないでしょうか。それでも自分の意志に対して学力が追い付いてない事を突かれるのかもしれませんが、五月が本気で教師になろうと努力している事を理解してくれている風太郎がいる限り、五月は諦めることはしないハズです。
それから、途中で話を遮ったために謎のままだった『生前に零奈が言っていた事』。その言葉をずっと忘れないように生きてきたので、きっと五月の原動力となり得る言葉なのでしょうね。この内容も次回に明かされることでしょう。
五月はキスをするのか?
します!(直感100%)
ここまで来たら五月にもキスをしてほしい。ちゃんと恋愛感情を持ってね。現状の五月が風太郎にキスをするために条件付けを仮にするとしたら、以下の条件が必要かなと思っています。
①五月が教師になるという夢を強固なものにする
②ムドーを撃退する
③風太郎に恋愛感情を持つ
ぶっちゃけ①と②は最終日になってしまえば『勇也からムドーの話を聞いており、五月の本気を知っている風太郎』と『二日目夜に零奈の死を受け入れ、娘達から距離を置くことをやめたマルオ』がいるのでどうにかなってしまうのではないかと安心している自分がいます。
問題は③。風太郎に対して恋愛感情を持っているのかが明確になっていません。いや、僕は林間学校の頃から持っていると思っているんですけどね?
二乃の「こういう時に道標になってくれるのが親の役目なんじゃない?」という言葉を受けて真っ先に風太郎を思い浮かべたので、心の拠り所となっているのはやっぱり風太郎になっているのかなと言うのはあるのですが、それが恋愛感情に結びつくのかというと疑問なんですよね。風太郎に『父親』を求めている可能性もなきにしもあらずですからね。
できればしっかり「異性として好き」という感情を持ったうえで風太郎にキスをしてほしいのが個人的な願望です。次回の更新、期待してますよねぎ先生……!
まとめ
ついに正体を現した実父・無堂。そして揺さぶられる五月の夢。亡き母・零奈が残した思いや言葉が、遺された者達にどのように作用していく事になるのか。果たして風太郎とマルオは無堂の手から五月を開放できるのか。そして五月は風太郎にキスをするのか……。
様々な憶測が飛び交い、ある意味で先行きが不明すぎる109話でした。なんなら自分でもこの後の展開を一つの軸で固めずあちらこちらに飛ばしまくっていましたからね。
しかし、あの四葉ですら②で解決に至った最後の祭り編。きっと五月の場合も②で終わることは間違いないですね。残り1話がどのような形で締めくくられるのか、今から超期待して最新話の更新を待ちましょうか!
といった取り留めのない文章を最後に、今回はこの辺で終わろうと思います。
ご拝読ありがとうございました。
*本記事で掲載している画像は©春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁」より引用しています。
五等分の花嫁:108話感想 さようなら「風太郎君」、初めまして「上杉さん」
108話を見終わりました。もうね、凄いです。本当に凄い。この心の内側から溢れ出てくる感情の正体を一言で表すならまさしく『感動』という二文字がふさわしいでしょう。
前回の終わりがああいった形だっただけに、果たして今回で無事に終わってくれるのか?それとも終わらないのか?といった様々な不安を抱えながら一週間を過ごすこととなりました。
しかし更新日になってパンドラの箱を開けてみたら、そんな不安がすっかり吹き飛んでしまうくらいに、そして思わず涙腺が緩んでしまうほどのストーリーが描かれていました。僅か1話でここまで感情が逆転するとは思いませんでした。ねぎ先生には脱帽という他ありませんね。お見事でした。素晴らしい。
今週も今週でとにかく書きたいことが沢山あるのですが、順々に今回の話を順々に見ていこうと思います。
竹林と四葉の会話
前回、疲労のピークを迎えていた四葉の前に現れた竹林。今回の冒頭でその二人の会話の内容が明かされることとなりました。前回の予想では四葉が100話で言った「私の方が上杉さんのこと……」の続きを竹林が誘導して喋らせ、より恋心を自覚させていく方向で行くのかなという事を書きましたが、実際は全くそんな感じではありませんでしたね。
①竹林の推理
2ページ目にしていきなり驚かされたポイントでしたが、竹林は『この子が風太郎と一緒に過ごした女の子だろうな』と半ば確信に近い何かを持って「風太郎と会ったのはあなたですか?」と四葉に問いかけました。その結論にたどり着いたのは以下の流れがあったからですね。
(1)竹林は覚えていた
そもそも竹林は6年前の修学旅行の時に、不注意でぶつかってしまった子が四つ子であった事をずっと記憶していました。これはまあ竹林達の側からしても記念すべき修学旅行の一発目のパンチとしては印象に残りますよね。出先で四つ子とぶつかるなんてそうそうないでしょうし。
(2)竹林は写真を見せられた
そして修学旅行が終わった後、竹林と真田君は意識が突然変わった風太郎から勉強を教えてくれと頼みこまれました。そしてその際に風太郎からあのツーショット写真を『嫌という程』見せられます。
当時の二人はその写真を見て実に驚いた事でしょうね。自分が修学旅行でぶつかってしまった子達の中の誰かが、風太郎の見せてくる写真に写っていたんですから。
それにしても、風太郎が竹林に写真を見せたのはハッキリいって『意外』でした。何というのでしょうか、女の子とのツーショット写真なんて気恥ずかしくなってしまって人に見せられないようなものですし、本編が始まってからの風太郎も写真を他人に見られるのを避けるような行動を起こしていましたから。
そういうものを恥ずかしげもなく竹林に何度も見せた当時の風太郎はそれだけ『心の底から本気で変わりたい』と思っていた。この行動が何よりの証拠なのでしょう。そして当然、それを何度も見せられた側である竹林も彼の決意を常に側で見届けた。そういう事なんですね。どうして高校3年になるまで疎遠になってたんだろうね。
ちなみに余談なんですが、竹林も真田君も風太郎に『その子は四つ子だよ』とはおそらく言っていないのでしょうが、それは何故でしょうね?地味に気になるポイントです。まあ言ったら言ったで『何であの時五つ子だと話してくれなかったんだ!五倍頑張るなんて嘘だったのか!』って風太郎が怒ったら本末転倒だし別にいいか。
(3)竹林は二乃と五月から教えられた
本来は風太郎の様子を見るために学園祭に来た竹林ですが、そこでまさかの四つ子の二人と再会するわけですね。そして二乃と五月から6年前の話を聞く事で『あの時の四つ子ははぐれた一人も含めて実は五つ子だった』という新情報を入手しました。
ちなみにこの会話を風太郎が聞いていたらとんでもない事になってしまうんですけど、おそらく風太郎はこの時にはその場から離れていますよね。
冒頭の1コマ目で『風太郎が放送部に話をしたらどこかに行ってしまった』と話しているので、風太郎・竹林・二乃・五月の四人がパンケーキ屋で話している時に竹林が放送部の特別ゲストとして顔を出していた三玖の顔が二乃と五月の顔とそっくりであった事を話したのでしょう。そして風太郎が放送部の映像にマルオの姿が映っている可能性があるのではないかと気付き、椿ちゃんの元へと走っていった。そんな感じですかね。
で、ここでもう一回余談なんですが、もしかして竹林と五月の間でも何か五月の心に強く影響を与える会話が繰り広げられたのではないか?と変に邪推しています。五月の表情が見えないのがなんともね。
(4)竹林は推理した
以上3点から『あれだけヤンチャ少年だった風太郎が自分達に勉強を教えてくれと頼んだのは、そのはぐれた女の子と何かがあったからに違いない』と竹林が推測し、他の姉妹を探したわけですね。風太郎の在り方を変えた張本人がどのような子なのかを一目見るために。後に四葉に「あなたに会えてよかった」と言っているので、その子に対して感謝の気持ちを持っていた事は想像に難くないと思われます。
ちなみに竹林は二乃と五月には会っていますが、一花と三玖には直接会っている描写がありません。なぜ四葉を『はぐれた女の子』だとわかったのでしょうか?
二乃や五月が教えた、女の勘でアンテナが働いたなど考えられる事は色々ありますが、やっぱり『女の勘』ですかね。なんと言っても登場人物の中で誰よりも外見が変化した風太郎を一目見て看破するくらい観察眼がありますから、四葉がはぐれた子だと第六感で察知しても不思議ではないでしょう。
②それだけですか?
これで竹林の視点からも風太郎が昔会った女の子は特定できました。しかし、その事は四葉の口から風太郎本人には告げられていない様子でした。
四葉が風太郎と再会した時からずっと抱えている「ガッカリされたくない」という思い。そしてやる事なす事全てが裏目になってしまった「無駄なことに執着した意味のない五年間」。それらが重くのしかかっているために、正しく努力をして生きてきた風太郎に自分の正体を明かせない事を竹林に言います。
しかし、それを聞いた竹林はたった一言「それだけですか?」と四葉に問います。
自分が無価値だと思っていた風太郎が前に進めるようになれたのを間近で見た竹林は『どんなに無意味なものであろうと、過去は踏み出して前に歩いていく事ができるもの』という事を知っています。だから、四葉の辛い過去を聞いても『それだけ』と言い切ることができました。
しかし、その真意をまだ読み取れていない四葉は『それだけ』を『自分の事を秘密にする理由の数』で捉えていました。竹林が「他にも理由があるのではないか?」と聞いているものだと思ったんですね。だから「"ただ"それだけ……」と一人病院で思い返していた。そしてその「それだけ」となる理由が、すなわち「自分の存在意義」についてでした。
風太郎と初めて会って誓いを立てたあの頃の四葉は零奈のために頑張れる事ができました。しかし零奈が亡くなってからはその目的も徐々に徐々に狂ってきてしまい、やがては『自分が特別だと認められたいがため』誰かの手助けをするようになったことは記憶に新しいですね。
そしてそのために大きな失敗(部活にのめり込んだ結果、黒薔薇女子を退学処分させられる)をし、自分のこれまでを省みた結果『困っている誰かを助ける』という新たな目的が生まれました。
しかし、それでも四葉にとって「誰かに迷惑をかける事はしたくない」という思いは根っこに残っています。自分が一度大きな失敗をした結果、姉妹に迷惑をかけてしまったという記憶が強烈に残っているから。
それゆえ、今回の学園祭編でもたこ焼き屋のボヤ騒ぎに関して強い責任を感じ、二日目でも迷惑をかけた皆に「頭を下げて回ります!」という事を言い出すわけです。
四葉のいない学園祭二日目
四葉が倒れた学園祭二日目の午後。やるべき仕事がたくさんある状態の四葉が抜けた穴がどのようにして埋めていく事になったのか、それを風太郎が説明します。
①四葉のいない演劇部の公演
前回で、代役の候補として一花(四葉の練習を手伝っていたので内容は知っているから)・三玖(水族館デートで任されたから)・竹林(そもそも女優だと想定して)の三人なら代役で出られるのではないかと予想をしましたが、なんと真実は全く違ったんですねえ……(笑)
この驚愕の展開、一体誰が予想できたであろうか!?
なんと江場部長が助っ人で代理を申し込んでくれました。初日にカメラをガンガンに回していたのも明らかになったし、その日の夜に四葉が出ている場面を何度も再生していたことでしょうね(笑)
そのおかげなのか、セリフもミスすることなく無事に乗り切れたそうです。四葉への愛がなければできない芸当でしたね!マジかよ。
いやあ、それにしても本当に、江場部長が出ると予想できた人って実際におるんか……?女優の一花がいるものだから、どうしてもそちらに目が行きがちになってしまいますよね(笑)
お見事!やるやん!ってなりますわ。
②他の仕事も……
四葉の仕事を引き受けたのは江場部長だけではありませんでした。演劇の衣装のサイズが合わないのを被服部の二人が直してくれて、学級長がやっていた安全点検を親戚に紹介状を送った女生徒が代わりに行ってくれて、たくさんある看板や荷物をバンドメンバーの三人が運んでくれました。皆、学園祭が始まる前に四葉が何かしらの形で手助けをした生徒達です。
四葉の助力があったため、この生徒達は学園祭初日にそれぞれのやりたいことができるようになりました。彼らは四葉が前回言っていた『持ちつ持たれつの助け合いの精神』を持っていたから、二日目午後に四葉が倒れたと聞けば、今度は彼らが喜んで四葉を助けます。
四葉としては初日に限界を迎えていた風太郎を手伝うためだけに言ったのかもしれませんが、それが自分に跳ね返ってくる事は全く考えていませんでした。だからこそ、こういった『皆のお返し』が四葉の心に深く突き刺さったのですね。『自分のせいで皆が動かざるを得なくなった』ではなく『自分が助けたから皆が動いてくれた』、たったそれだけのことなのに。
いつもは持つ側にしか回っていなかった四葉なんだから、たまには持たれる側に回ってもいいんだと。そして今まで誰かに託す事をしなかった四葉自身の仕事を「託してくれ」と風太郎から言われ、ついに四葉は自分の仕事を風太郎へと頼むことになりました。
最終日の四葉
そして迎えた学園祭最終日。無事に退院したとはいえ安静にしなければならず自分の仕事を風太郎にお願いした四葉は、その足で『持ちつ持たれつの精神』を分かち合った生徒達の元へと赴きます。
セリフこそ全く出ていませんが、きっと今の四葉なら「手伝わせてしまってごめんなさい」という謝罪の言葉ではなく、「手伝ってくれてありがとう」という感謝の言葉を口に出してくれたのではないでしょうか。
そして誰が教えてくれたかは分かりませんが、階段の下で眠っている風太郎の方を指さされてそちらへ向かう四葉。おそらく元々は風太郎にも「私の分の仕事をしてくれてありがとうございます」と感謝の言葉を述べるつもりだったのでしょうが、ここで竹林の「あなたも過去から踏み出せますように」という言葉を思い出します。
竹林の言葉、そして自分自身が見てきた事。風太郎はもう過去から抜け出し、前へと向いて歩き始めています。だから今度は四葉の番。『6年間に交わした誓いとの決別』の時は、今しかありませんでした。
『過去があったからこそ今の自分がいる』とは人生の中でよく言われる事です。でも、だからと言って辛い思い出と変わってしまった過去を一生引き摺りながら生きていく理は決してありません。
囚われていた過去を払拭するため、四葉は六年前の話し方で風太郎に呼び掛けました。お互いに気兼ねなく話すことのできたあの時のように、「風太郎君」と。
まどろみの中にいる風太郎との会話。約束を守れなかった事を告白する四葉の言葉を聞いても、風太郎は特に気にする様子がありませんでした。
竹林も言っている通りで、風太郎は『7つのさよなら』で既に過去から抜け出しています。過去に自分を変えてくれた少女には当然感謝の気持ちを持っていますが、それでも風太郎はその思い出に固執する事なく、今現在自分の近くにいてくれる五人の方を選び取りました。
過去を決して蔑ろにするつもりはない。だけど過去に引き摺られて今の自分を見失っていては前へ進めなくなる。風太郎はそうした感覚を既に持っていたから、過去の約束を守れなかった『零奈』に対して「大切なのは今だろ」と言います。
それを聞いた四葉は決意を新たにすべく、風太郎に誓いを立てます。辛いことの多かった過去の中でたった一つだけ変わらずに存在し続けた確かな思い出に別れを告げ、自分で自分の進むべき道を切り開いていくんだと。
そんな四葉が行った最後のわがままという名の『思い出作り』は、過去からずっと想い続けてきた風太郎へのキスでした。六年間の想い、そして過去の自分にさよならの思いが込められた、熱く切ない最後のキス。
四葉の再スタートを演出するのにとても感動的とも言える演出なのですが、キスをされた風太郎本人が全く現実のものだと思わず夢だと思っていたのがなんとも歯がゆいばかりでしたね……。
風太郎へキスした後、ようやく自分も前へ歩き出せそうな予感を見出すことが出来た四葉。だけど、6年前から持ち続けてきた風太郎への想いはそう簡単に断ち切れるハズもなく、柱の陰で人知れず涙を流します。
何もかもが辛い過去に変わってしまった思い出の数々。だとしても、自分が生きる意味を探して走り続けた6年間があった事、そしてその中で風太郎への恋愛感情が芽生え、変わる事なく持ち続けていたのは紛れもなく四葉にとっての事実でした。それらとのさよならは、きっと何よりも哀しいものなのだろうなと。
でもね、自分はこれで良かったんだと思っています。『私とある男子②』で風太郎に心の内でさよならを告げた時の四葉は泣くことすらできなかったのですから。
風太郎との思い出を全て消す事を決意し、「そんな思い出なんて存在しなかった」がために泣くことすらできなかったあの時の四葉。そして思い出を認め、その思い出に頼らず前に踏み出そうと決意してさよならの涙を流した今の四葉。
後ろ向きに生きていくのか、前向きに生きていくのか……。同じ『さよなら』でも、その後の自分の在り方が大きく変わってくる事は間違いありません。過去に縛られず、今と未来を生きていく中野四葉という一人の少女の生き様を自分はこれからもたくさん見ていきたいんだなって。だから、これで良かったんだと思いたい。
そんな感じでした。
だからこそ今回の記事タイトルを『私とある男子②』と逆転させてみたんですけどね。どうでもいいか。
まとめ
長い間重苦しい過去に纏わりつかれていた四葉がついに解放されたように見える素晴らしい回でした。しかし、おそらくこの6年前にまつわる話はこれで終わり……とはならない予感がしています。
それはまだ風太郎が京都の子を看破していない事、そして四葉の代わりに京都の子=零奈を演じた五月の振る舞いにケリが付いていない事。これらが解決していない以上、まだもう少しだけ京都の子に関する話は続くのではないでしょうか。
第一、コレの謎が未だに解かれていませんしね!
7つのさよならでボート零奈が去り際に渡したお守り。前は五月が渡したものだと想像しましたが、あのタイミングで五月が渡す理由も目的も内容もわからないので、『実はお守りも四葉のもので、中にさよならと書かれた紙片があったのでは?』という事も一応予想しております。まあその場合、お守りは今となっては重要アイテムでも何でもないので今さら話題に出すのも怪しいですが……。とにかく、ここらへんも学園祭編で答えが欲しいところですね。
さて!『最後の祭り編』もいよいよ大詰め。最後は五月のターンです。入院していた姉妹が四葉だった事が明らかになったし『五月も実は入院していました』なんて可能性はもう考えなくていいでしょう。とりあえず学園祭の話で出てきた事象に限定して考えるべき事柄は以下の通りですかね。
有名な塾講師とは一体誰?
五月の大学受験は話題に出てくる?
初日に時間通り集まれなかった理由は何か?
初日夜、二日目夜に何か行動していたのか?
竹林とどんな会話をしたのか?
『零奈の死』や『6年前の誓い』に囚われていた過去から踏み出せたマルオや四葉から何か影響を受ける事があるのか?
学園祭の最中に零奈として出てくるのか?
亡き母親への思いを克服する事ができるのか?
風太郎への恋愛感情はあるのか?
そして、果たして風太郎にキスはするのか?
いやあ、多いですね……。実に楽しいですよ。考えるのも楽しいし、それらの答えがどのような形で描写されるのかを見るのも楽しいです。ワックワクのドッキドキだよね!
そういえば最近ブログでもツイッターでも書いていないので忘れている方も多いと思いますが、一応『五月は林間学校から風太郎に恋心を抱いてる説』『五月長女説』はまだ撤回していませんよ!ただ主張するべき新事実も出てきてないから最近は主張してないだけなのです。これらがあってたら嬉しいなあ。
さあ、最新話更新まであと4時間を切りました。最近これくらいの時間に記事が出来上がる事が多いので、たまには金曜日くらいに記事を投稿できるようにしたいですね。
そんな独り言をつぶやきつつ、今回はこの辺で終わります。
ご拝読ありがとうございました。
*本記事で掲載している画像は©春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁」より引用しています。
五等分の花嫁:107話感想 さまよえる翠の弾丸
107話を読了しました。愛とスリルとサスペンスに満ち溢れた『最後の祭り編』も折り返し地点から少し進んで第7セクションへとやってきました。今回からは4人目の姉妹と言うことで、四女の四葉を主要視点者とした学園祭の風景が描かれていくことになります。
三人の姉と違って風太郎に明確な好意を抱いてるにも関わらず、自分の気持ちに蓋をし続けてしまう四葉。一花・二乃・三玖が学園祭の中で確かな想いを持って風太郎へ猛攻を決めていったので、四葉もそれに負けじと風太郎に狙いを定めてをアプローチショットを決めてほしいですね。アプローチと言わずホールインワンになっても一向に構わんのだがな!
思い返せば学園祭編の始まりである96話『進み続ける日常』、その回の中心にいたのは四葉でした。あの時「1ミリも悔いの残らない学園祭にしましょう!」と言った四葉の祭りでの行動は果たしてどのようなものだったのか?順に追っていきましょう。
最終日の四葉
さて、『最後の祭り編』その①恒例の気になる扉絵ですが、四葉は教室やその周辺ではなくまさかの屋外にいる事がわかりました。扉絵右下がうっすらと明るくなっており、近くの生徒に光が反射していること。そして空中に漂う光のカケラがある事から、今の四葉はキャンプファイヤーのすぐ近くに立っている事が分かります。
周囲の生徒達が笑顔になっている中、真剣な眼差しでキャンプファイヤーの方を見やる四葉ですが、果たしてその視線の先にあるものとは一体……。
そして何より気になるのは、なぜ四葉が後夜祭終了時に外にいたのか?という点ですね。学級委員長としての仕事のために外にいるのか、そしてこの後教室かどこかの部屋に行くつもりなのか、そもそも四葉は風太郎に呼ばれていないのか……展開を読むのが実に難しいところです。
(ちなみに仮に風太郎が四葉を選んだ場合の話をするのですが、学園祭初日の一花と同じで四人に選ばない事を告げた後で「入ってくれ」と言うパターンもあるのかな?と思いました。)
それからもう一つ頭の片隅に覚えておきたい話なのですが、姉三人は後夜祭終了時にはキャンプファイヤーの近くにいませんでした。つまり一花・二乃・三玖は後夜祭に全く参加していない可能性があるのではないでしょうか。それと比べた場合、四葉は学級委員長としての立場もあるでしょうが『明確に後夜祭に参加している』という見方ができます。
また、後夜祭と言えば一花が「カップル成立の多い学園祭の中でも、特に三日目の後夜祭がすごい」と言っていましたね。もしかしたら後夜祭の途中で四葉に何かが起こったのでは?と考える事もできます。
もちろん姉三人の方も途中までは後夜祭に参加し、途中で抜けてそれぞれの場所に立っていた事も十二分に考えられます。はーわっかんね。
という事で二乃回で割とどうでもよさげにやった『四葉は教室の後ろ側にいる』という扉絵予想は外れでしたね。残念!でも僕はまだ五月が自分の机に座っている可能を諦めませんよ!
初日の四葉
初日の四葉はまさに獅子奮迅の大活躍と言った所でした。表舞台で大活躍していたのはオープニングアクトで代わりにダンスをすることになった二乃ですが、四葉は学園祭の裏方として様々な出し物の手伝いをするべくあちらこちらに奔走します。
お化け屋敷とから揚げの手伝いもさることながら、何と言っても演劇で悪の女王エメラルドを最後まで演じ切った四葉が素晴らしかったですね。風太郎が『大根』と言っていたのは何だったのかと言わんばかりの演技力でした。
それから学園祭前に依頼をしていたクラスメイト達(バンドの三人組・親戚に招待状を送ろうとしていた子・被服部の人たち)が楽しそうに過ごしている様子も描かれます。
いいですよね、こういうの。自分が親身になって手伝った結果、皆を笑顔にさせることができて、皆が笑顔になってくれたから、自分も手伝ってよかったと心の底から実感できた。見てくださいよ、四葉のこの嬉しそうな表情。見ているこちらもほっこりするものを感じませんか?実際バンドとかを見たのかは不明だけど
それから集合時間前に風太郎と合流する場面。体力に限界を迎えた風太郎を心配して手伝う四葉に彼が投げかけた「ありがとな」という言葉。四葉は「持ちつ持たれつですよ」とすぐに返すものの、その言葉を風太郎から聞けただけで自分の頑張り全てが認められたような気分になります。
思い返せば四葉は『誰かに必要とされる人間」になろうとしていました。最初は母親のために、(この時は少々歪んでしまってしまいましたが)自分のため、姉妹のため、そして風太郎のため。
そしてそれは風太郎の場合も同じです。『誰かに必要とされる人間』になるため必死に勉強をし続けた結果、今の五つ子達から文字通り『必要とされる人間』になっていきました。風太郎本人としてはまだまだ進行形ではあると思いますが。
今までの思い出を全て覚えていて尚且つ理解している四葉だからこそ、この風太郎の感謝には何にも代え難い格別の喜びがあるんだろうなぁと、しみじみと思いました。
そしてその感情は当然恋愛感情にも繋がっていくわけですね。こんな風に過ごせるのもあと二日間しかありませんが、もしも最後に風太郎が選ぶのが自分であってくれれば……と思う四葉の胸中はいかがなものだったでしょうね。
二日目朝~昼の四葉
全てが順調だった初日の終わり際、『たこ焼きの屋台からボヤ騒ぎが発生した』という思いがけない一報が四葉の耳に届きました。
安全点検の時にバッチリだと思っていた場所で起こった想定外の事故。周辺の屋台や人に被害が出ることなくボヤ騒ぎで済んだ事は不幸中の幸いと言えるでしょうが、たこ焼き屋は営業停止処分を言い渡されてしまいます。
点検係であった四葉には『紙片が片付くのを最後まで確認しなかった(と思われる)』という事から責任が0だとは言えません。しかし、だからと言ってここで四葉を責めるべきではないのは読者の皆さんも分かっているでしょう。一番問題なのは『紙片を片付けてください』という指示に従わず紙片をずっと放置していたどころか、四葉ですら知りえなかった高火力に改造したコンロを持ち出してきた男子達ですから。営業停止処分を言い渡されてしまったのも学校側からしたら適切な処罰となります。
ですが四葉は『集合時間に確実に間に合うよう意識してしまったばかりに安全点検を怠ってしまった』と考え、強い自責の念を感じてしまいました。『悔いのない学園祭』を目指して準備期間も絶えず東奔西走してきたはずなのに、ここぞという時に自身の落ち度を認識してしまう四葉の無念さはもはや計り知れない領域にある事でしょう。
そして二日目。初日の不手際を取り返そうとしたのか、はたまた自身の言葉通り眠れなくなってしまったのかは分かりませんが、開場の3時間前から学校に行って仕事を請け負っていました。風太郎の二日目の仕事がなかったのは四葉が全て持っていったからですね。
そんな所から始まった学園祭二日目ですが、三玖が見てもわかるくらい四葉の顔に覇気がありませんでした。
そうなるのも当たり前ですよね。風太郎の告白にたこ焼き屋のボヤ騒ぎ、そして二日目には竹林襲来など、立て続けに四葉にとって衝撃的な事が起こってしまって心に平静を保っていられなくなったのですから。
さらには睡眠時間も足りず、ロクに初日で失った体力の回復ができなかったのもあるでしょう。何もかもが四葉の身体と心を蝕んでいきます。
しかしそれでも悔しがる前田達の姿、そして挑発的な竹林の姿を見て四葉は懸命に学校内を駆け回ります。一体それは果たして何のためでしょうか?
初日のように学校にいる皆の笑顔が見たいから?
または初日の手落ちを取り戻したいから?
それとも風太郎への恋心を強く戒めるためだから?
分かっています。自分の中に『本当は上杉さんに選ばれたい』という強い想いがある事を。
それでも彼女は仕事を求めました。
分かっています。自分の中にも『上杉さんと一緒に学園祭を楽しく見て回りたい』という願望がある事を。
それでも彼女は仕事を探します。
分かっています。本当は『誰よりも、自分の方が上杉さんの事が大好きなんだ』と声を大にして叫びたい気持ちがあることを。
それでも彼女は仕事を受け続けます。風太郎の特別でありたいという気持ちが強くなればなるほど、風太郎の特別になってはいけないという自制心が大きくなって自身の気持ちに蓋をしてしまうから。
次々と思い起こされる姉妹達の言葉。それらを振り切って忘れようとただガムシャラに働き続ける四葉でしたが、ついに心身共に疲弊してしまいました。もはや『自分は今、誰のために何をやっているのか?』そんな事を考える余裕もなかったのでしょう。右に左にふらついてしまい、まっすぐに歩くことのできない四葉の姿は見ていて心が痛むものでした。
そしてそんなフラフラな状態の四葉の前に、竹林が突然姿を現します。「風太郎のお友達さんですよね?」という言葉と共に。
やはり、というべきなのでしょうか。竹林は五つ子の事を間違いなく知っている様子でした。自分としては「一花と同じ女優仲間だから知ってるのかな?」とも思っているのですが、果たして果たして……と言ったところですね。
そして今回学園祭にやってきた目的に関しても全容が不明なままです。風太郎がどんな様子かを見る事ももちろん目的の一つではあるでしょうが、五つ子への反応を見る限りどうにもそれだけでは終わらないというのは読者の皆さんも見てて思うのでしょうが……。
ちなみに自分の考えとしては100話で『四葉と五月の本音を引き出すために一花がお願いした説』を持ち出し、101話ではそれを否定して新たに『風太郎が誰かを選ぶきっかけを作ってもらうため一花がお願いした説』を考えました。
そして今さら考えたことなんですけど、もしかしたら竹林は一花のお願いとは別に『独自で五つ子の本音を引き出そうとしていた可能性』も実はあるのかもしれませんね。
100話で四葉は竹林に向かって声を出しました。途中で五月の声にかき消されてしまいますが、竹林には実はこの声が聞こえていた可能性もあるのかもしれませんよね。
そしてこの声を聞いた竹林が四葉の元に赴いて、「私の方が上杉さんのこと、なに?」と四葉の言おうとしていた事が何だったのかを聞いてくる展開などもあるような、ないような……。いずれにしても、竹林は四葉の持つ恋愛感情に強い影響を及ぼしてくれる人物になってくれるのではないかと。竹林の感じが悪いと言えば感じが悪いけど、まあ初期の二乃もそんなんだったしいいっしょ!
次回で二人の会話が出てくる事を期待します。
二日目夜の四葉
二人が邂逅を果たした次の瞬間、場面が一気に転換。四葉が病室で目を覚ましました。
一花回からずっと気になっていた『倒れた姉妹』の正体は四葉でした。自分の予想としては最初は102話で「四葉がオーバーワークで倒れた可能性が高いな」と思っていたものの、104話で「学園祭の途中で倒れたなら二乃に連絡が来てマルオと何か話すはず。だから過労の可能性は極めて低いので、五月が倒れたはず」と方向転換したのですが、完全にやらかしてしまいましたね。まさか二乃がその報せを受け取っていなかったとは……予想できませんでした。
二乃から余裕を持ってやれなかった事を注意されつつ学校へと戻ろうとする四葉でしたが、二乃が「もう夜よ、二日目はすでに終わってるわ」と四葉に告げられる場面で今回は終わりです。
正直な感想としては「三玖以上にこの後どうすればいいんだ……?」と言ったところです。三玖の場合は自分がミスをしてしまったわけではなく、しかも「初日の夜から行動してくれるのかも?」という希望的観測もあっていろいろと想像の余地はありました。だけど四葉の場合は四葉自身が頑張りすぎたために二日目をフイにしてしまった部分をどう埋め合わせしていくのかが想像し難いです。
今まで『最後の祭り②』で『それぞれが抱えていた心の問題が解決し、その後に風太郎にキスをする』という流れを三者連続でやってきたじゃないですか。だから四葉の場合もその流れに沿って話を展開させていくものものだとは思うのですが、中々に突破口が見えてきません。
特に四葉の数あるお手伝いの中でも最重要だった『演劇部の公演』に参加できなかった点。これがどのような形で解決していくのかがポイントになっていくのではないでしょうか?
それらの事を含めて、以下、気になった事を述べていきます。
気になる事
①演劇は誰かが代わりに出た?
一番のポイントはズバリここでしょうね。二日目の公演に出演できなかった四葉の代わりを誰が果たしたのか。それとも、代役が見つからずに演劇そのものが中止になってしまったのでしょうか?
代役として出られるのは一花・三玖・五月の三人です。二乃は学校にいる間に四葉が倒れて病院にいることを聞いていなかったので除外されます。
有力なのは一花でしょう。話の途中で四葉が一花から演劇の指導を受けていると思われる発言をしていたので、一花が演劇の内容を知ってバトンタッチした可能性は十分考えられます。
ただし一花が代役をこなす場合、考えるべき案件が二つあります。まず、一花はそもそも学園祭二日目はお仕事の最中だったということ。そもそも「妹が倒れた」と聞いて仕事場を離れるなら演劇そっちのけでまず病院に行くのが筋であり、四葉から演劇の代役をお願いされない限りは演劇部の公演に助っ人で参加することはしないでしょう。
……とはいったものの、こちらはそこまで問題ありません。四葉が演劇に出ることを知っているであろう一花が職場に「代役で出ていってもいいですか?」と聞いてOKをもらえば問題ありませんから。それに撮影所の方も一花が不在の間は一花が出演しないシーンを撮影していれば大丈夫でしょう。
問題なのは二つ目。102話で社長から「妹さんが倒れたそうだ」と聞いたのが仕事終わり=夕方であり、その時に倒れたのが五月であるという事。
要は昼に連絡を受けて演劇に参加してきた場合、仕事終わりのタイミングで社長から聞いた連絡は何だったのか?という話です。四葉は昼に連絡をもらっているから当然違いますので、消去法的に五月が夕方に倒れたことになってしまいます。
結論としては、一花が代役で公演に出る場合は『昼に四葉が倒れ、夕方に五月が倒れた』という事になります。なんだかとんでもないことになってきますが、五月は五月で倒れる根拠もそれなりにある(寝不足or実父ショック)ので、二人が時間差で倒れるのは普通にあり得ることでしょう。
それから、四葉の代役として三玖も候補に入ります。簡単に根拠を挙げるなら『風太郎が水族館デートで「任せたぞ」と言っていた内容が四葉の演劇の件である可能性がある事』『三玖の二日目の描写が少ない事』『三玖は四葉の異変に気付いた可能性がある事』の3つですね。
あとはあれですね。竹林女優説がアタリなら竹林が即興で参加する可能性も実はあったりするのではないでしょうか?といったところです。ないか。
②病院での出来事
夜になって初めて四葉が目を覚ました事、そして前の項で四葉だけでなく五月も倒れている可能性を見出してしまった事などから、いつ何があったのかを正確に把握するのが非常に困難です。
四葉が目を覚ました時、二乃が傍にいましたが風太郎の姿はどこにもありませんでした。また、一花が病室に顔を出した時も二乃と風太郎は病室の中に入ろうともしませんでした。もしかして風太郎は目を覚ました四葉と話をしないまま二乃と別れ、一花と一緒に外に出歩いたのでしょうか?
う-ん、謎ですね。風太郎は四葉が病院にいる事を知って二乃と一緒に来たのですから、そのまま四葉と会話せずに終わってしまうのは矛盾しているような気もします。
⇒風太郎が戻って来て3人で会話をした。
⇒二乃と風太郎は一度退室し、どこかで何かをした。
⇒戻ってきた時に一花と合流した。
こういう流れになるのでしょうか?四葉が目を覚ました時の風太郎の行動が不明ですし、実は3人での会話の最中に二乃が退室して風太郎と四葉の二人きりで何かの会話がある可能性なども実はあったりするのかもしれません。
いや、ここに五月まで絡んできたらマジでややこしいことになりますね……ここいらで考えるのはやめておきましょう。
まとめ
先の見えない展開で締めくくられているので、とにもかくにも四葉が救われてほしい。この一言に尽きます。ただしここまで背負い込んできたものが大きすぎるため、たった一話で全てを解決してするまでに至れるのか?というのも疑問ではあります。
演劇部の手伝いは?竹林との会話の内容は?風太郎への恋愛感情をオープンにできるのか?風太郎は京都の子の件で決着を付けることができるのか?そして二人はキスをするのか……?
色々と未解決な問題を抱えたまま次回を迎える事になる『最後の祭り編』四葉パート。果たしてその終着点やいかに、といった感じで今回はこれで終わろうと思います。
ご拝読ありがとうございました。
*本記事で掲載している画像は©春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁」より引用しています。五等分の花嫁:106話感想 勇気はやがて迷いを吹き飛ばす力となる
106話を読み終わりました。一花回と二乃回の流れがあのような事になっていたもんだからと大多数の読者さんも予想をしていたでしょうが、いやあ、三玖がついにキスをしましたね!読んだ直後は思わず嬉しくて高笑いしてしまいました。
それにしても、フータロー君がたった二日間の間に3人の女性とキスするなんて正直言ってすごい。「キスしすぎだろ」という感想が出てもしょうがないくらいに連続している感じは否めないんですけど、『誰か特定の一人にキスをする』というタブーな状態からは逸脱してないので全然いいと思っています。
というよりもむしろ高校生という青春輝く時代が遥か昔に過ぎ去ってしまった自分からすれば「キス?いいぞ、もっとやれ!!」みたいな単細胞的な考えがすぐに頭の中を埋め尽くしてしまうくらいなので、まあつまりは現状に大満足しています。好きな人にキスをして何が悪いのかと。相手が嫌がっていなかったのならなおさらキスしないままで終わる理由もないでしょう。
「いやいや漫画的にそれはどうなの?ご都合主義的すぎない?」と言われたら、そうですね……。
知るかー!(ノ# ゚Д ゚)ノ====┻━━┻
さて、今後の感想考察に置いて四葉と五月が果たして風太郎にキスをするのかどうかを考えていく時がいずれ訪れてくると思うのですが、根本は先ほど書いた事に関連して「全員風太郎が好きなら風太郎が選ぶ前にキスしとけ」という考えを持っています。
色々考察して「五月はやっぱりキスしないと思います」って自信満々に言った後で五月がキスした場合だろうが当然のように喜びますよ。ええ、それはもちろん。
例えば短い期間で二人以上の異性に『こちらから』キスする事になったらその時に「それは……ちょっと、どうなんだろうね……」と林間学校の四葉ばりに考えこんでしまいますけど、そうでないなら今の所はバッチこい!といった感じです。
はい、前置きはここまでにしておいて感想をこれから書こうと思うのですが、現在日曜日の20時です。何一つかけてない状態です、これはまずい。
というのも理由は単純。『二乃が三玖に風太郎にキスをしたのを話したかどうか?』の答えによって三日目の三玖の心情の捉え方が大きく変わってしまうからです。
今回はここの解釈が非常に難しく、自分の中でどちらの説で行こうか軸が定まらないものでしたので、感想記事を書くのを半ば放棄して他の方々のブログ記事を普通に読んでいました。
ただし問題の部分において「キスの話はしていない」という意見の方が圧倒的に多く、その内容にも非常に納得できるものが多かったので、今回はイレギュラー的ですが自分が方向を定めきれなかった理由、つまりは『二乃がキスの話をしたんじゃないか説』の根拠について色々述べていこうかなと思います。
というのも、初めてこの話を読んだ時に自分は「ああ、二乃がキスの話をしたんだな」と思った事もありましたので。なので今回はそれについて様々な点から根拠を求めつつ、時には『キスの話をしていない場合』の感想を所々挟みながら書いていきたいと思います。 それではどうぞ。
二乃が「キスをした」と話した根拠
①二乃が話す前に顔を赤らめているから
これは一目瞭然ですね。花嫁でないなら風太郎とキスをしたのも今回が初めてだろうし、暴走機関車と言えど恥ずかしくなってしまうのは当然の心理と言えます。
後になって考えてみれば、これは『キスをした事を話すから』という面もありますが、『キスの話をしない場合になぜ顔を赤らめるのか?』という疑問の方が強いのかもしれません。エプロンの事を問われて『風太郎と一緒にバイクに乗った事やキスの事を思い出して恥ずかしくなったんだけど、実際には話さなかった』というパターンもあるにはあるんですけどね。
②後で皆に報告する理由は?
『なぜ他の姉妹全員に報告をするか?』という部分についてもこれまた単純明快。初日に風太郎が五つ子全員に告白したからです。こうなってしまった時点で他姉妹全員が二乃にとってのライバルとなるので、一部の姉妹だけにしか報告をしない理由はないかなと。先に三玖に話したのはパンケーキの件があったからでしょうか。
次に『何故キスした事について報告そのものをする必要があるのか?』について。ここで二乃の性格を思い出して頂きたいんですけど、二乃って恋愛に関して嫉妬する事はあったけど基本的に『正々堂々』『真正面から』なタイプじゃないですか。修学旅行の班決めや三玖への激励の時にその性格が色濃く現れていたと思います。
なので、ここでキスをしたと話すのは「私はフー君にキスしたからアンタも頑張りなさい」って言ってるようなもの……なんじゃないのかなと。そもそも学園祭二日目で二乃は『自分からガンガン攻めていく事が大事で、風太郎の告白を待っているだけでは自分の気持ちがスッキリしない』という事が分かったので、同じように色々ため込んでるであろう三玖に助言(というよりも『ある種の煽り』)するのは二乃の考えとしては十分あり得る事だと思います。
③三日目、三玖が我慢の限界を越えたから。
上記の理由で二乃から暗に我慢する必要がないことを教えられた三玖は、三日目の朝に男女間での争いを終わらせるべくたこ焼きチーム・パンケーキチームの各代表を叱りつけました。そしてそれぞれを説得した後、風太郎に竹林の事を聞き、キスをし、さらに追撃で何かをする……という、もはや抑えどころの効かなさが物凄いことになっていましたよね。
二乃がキスの件を話したから三玖が(半ば怒りもあるでしょうが)吹っ切れた。そんな風に見られてもおかしくないくらい、三日目の三玖の態度の変化は劇的なものでした。
逆にキスの話をしていない場合、三玖は「お父さんが言ってたわ。あんたのパンケーキ、お母さんの味にそっくりだって」という言葉のみを聞く事になります。
料理は下手だけど自分の夢にしたいと言い、学園祭直前でも母親のように美味しいパンケーキを作れるようになりたいと思っていた三玖はこの言葉を聞く事で「自分を最後まで信じ、努力をすればどんな不可能でも可能になる」という事を強く実感できたことでしょう。だからこそ、初日のボヤ騒ぎで再び閉ざされてしまった『和解への道』もこじ開けることができました。
こちらの解釈はとにかく三玖の向上心というか底力というか、そういったものの凄まじさが伺えるのもあるので構図が実に鮮やかでした。
ちなみにめっちゃ余談なんですけど、自分は人がずっと我慢してため込んでいた感情を爆発させるシーンが思ったよりも好きらしいんですよ。分かる人にしか分からない話なので恐縮なんですが、アニメ『シュタインズゲート・ゼロ』の16話がまさにそれでして、メインキャラクターの4人が心の内に抱えたものを吐き出すシーンがあるんですよね。
その時の声優さんの演技が物凄い迫力があって非常に見応えのある回になっていましたので、今回の話がアニメ化された際には是非とも声優の伊藤未来さんに、我慢を爆発させた三玖の演技で視聴者に魅せてくれるよう超絶期待しております。
④キスしている時間が一花や二乃より長い
二乃がキスの話をした場合の決定打。二乃が先んじて風太郎にキスをしてしまったので、もっと深く印象に残るキスをしようと三玖が考えたんじゃないか説。風太郎の心に中野三玖の愛情を刻み付けようと考えた結果、一花や二乃の時よりも長い時間キスをしたのではないでしょうか。
以上、二乃がキスの話をしたと考えられる根拠を説明しました。
こうやって書き出してみると一応それなりに筋が通っているように見えますが、その場合「お父さんが言ってたわ。あんたのパンケーキ、お母さんの味にそっくりだって」という回想と、その際の
自分を信じる限り、どこまでも進んでいける
という心理描写が当てはまらなくなってしまう(二乃からキスの話を聞いた場合は吹っ切れたというのが三玖の感情の根本になり、自分を信じる系統の話と妙に嚙み合わなくなってしまう)ので、やっぱりこの説は違うのかなと思いました。
何はともあれ、もう止まらなくなった三玖の快進撃を見られたのはとてもよかったです。『三玖の場合①』で勇気を出せば不可能を可能に変えられるとわかり、『三玖の場合②』でそれを実際に成し遂げられたという一連の展開はまさに「素晴らしい」の一言に尽きますね!
以上が主な感想&考察でした。以下、気になる事を数点書いていきます。
気になる事
①男の子!女の子!
これは考察というよりは文字通り「気になった事」になりますかね。
正直三玖の行動は素晴らしかったんだけど、モブとはいえどせめて男女に苗字だけでも付けて欲しかった感がある。男の子、女の子って言ってる部分だけがどうしても違和感。他は良かったんだ。ここだけなんだ。 pic.twitter.com/d0dlJxeSwe
— 東王@五等分の花嫁専用 (@428AO) October 15, 2019
最近では順々レギュラーの子の片方が「椿」ちゃんである事がわかったし、その椿ちゃんも二乃回でファインプレーを起こしているのでウハウハしてたんですが、何故に今回三玖はこの二人の名前を呼ばなかったんだろうか……。日頃から全然コミュニケーションをとっていない相手であっても半年以上同じクラスなんだから「〇〇さん!〇〇君!」ってなりますよね、普通?
最後の試験の一花編で登場したモブ男子二人にすら名前で呼ばれているのに、なぜでしょうね。
この部分はハッキリ言って『些細な事なのに気にしすぎ』というのは自分でも分かっているんですけどね。名前を呼ぼうが呼ぶまいが物語上の出来事には何一つ影響を与えない事ですし。
ただそもそも五つ子自体がレアだとか風太郎があまりにも天才過ぎる等のような飛びぬけた設定などに関しては『いっそ漫画的に割り切れるもの』なんですけど、半年以上過ごした同じクラスの子の名前程度であれば普通にわかっているハズなのに、それを呼ばないのは少し「ん?」ってなりました。
②五月の心情
前回、三玖のパンケーキの味見役を申し出た五月。正直な所、これが今回の軽い伏線になっていることは全く予想していませんでした。『寝不足関係で倒れるフラグ』という他の方々の考察を見てなるほどなーって思ってたくらいですね。とりあえず「太るぞ」とか言ってすみませんでした。以後気を付けます(猛省)。
三玖が頑張って作り上げたパンケーキがお母さんの味にそっくりで、お母さんが大好きな五月はその味を思い出して涙を流してしまったのでしょうが……。
右のコマは最初はネタ的なものだと思って見ていたのですが、よく考えるとこれがなかなかどうして、感情を揺さぶられるコマではありませんか。
三玖はいくつものパンケーキを作りましたが『いわゆる完成品だけにお母さんの味があった』というわけではないでしょう。いくつもの未完成品の中にもお母さんの味を思わせるパンケーキが多数あったことだと思います。
そして忘れてはいけないのは、自ら食レポブロガーをやっているだけあって五月の味覚はこの上なく的確です。本来ならおそらくはお店特有の隠し味が何なのか?などを看破して色々評価をするんでしょうが、今回は三玖のパンケーキに込められた『お母さんの味』を知覚してしまったんでしょうね。
五月は勉強の軽い休憩がてら、三玖のパンケーキの味見役を申し出た時はそこまで大ごとには思わなかったことでしょう。何か自分がアドバイスできれば三玖の成長にも繋がるし、そうすれば自分ももっと美味しいものがたくさん食べられる。そのくらいの気持ちだったと思います。
でも、その試作品を一つ口に出した時にふと『奇妙な違和感』を覚えたのでしょう。そもそも最初の方に作ったパンケーキは完成形から程遠かった事もあって、(これは?うーん?)と疑問に思うのが精一杯でした。
しかし完成形に近づいていくパンケーキを次々と食べていく内に、その違和感の正体をうっすらと理解してしまいました。(あれ?もしかして……?)と、三玖の作るパンケーキに『お母さんの味』を僅かに感じ取り、まさかと疑問に思ってしまったんです。
未完成品ゆえに『お母さんの味』っぽいものを長く味わう事が出来ない五月。口の中に広がっていくその感触が消えてしまう前に、もう一つ三玖のパンケーキを食べていく。それを繰り返すこと十数回。
そして最後。三玖の渾身の一作は、もはや『お母さんの味』そのものでした。数年前に零奈が作ってくれたものと何一つ変わらない、懐かしくて忘れられなくて大好きだった味。
三玖のパンケーキによってあの頃を思い出し、今はもう亡くなってしまった零奈に思いを馳せた結果、五月は涙を流してしまったんだと。
完全に妄想ですが、実はこんな場面だったんじゃないのかと思わず想像してしまいました。
ちなみに余談なのですが、二乃がパンケーキを五月に振る舞った場合は一体どんな反応が返ってくるのでしょうか?やはり『一人ができるなら皆ができる』という五つ子理論もあるので同様の反応を示したのでしょうか?多分今後そういう場面がやってくる事は無いのでしょうが、少し気になりますね。
③風太郎に起こった変化
三玖が勇気を出して男女の和解に向けて奮闘した結果、1組が一つになる希望を見出しただけでなく、関係修復を諦めていた風太郎の気持ちを変えることもできました。
『一花の場合①』で風太郎が一花に「誰も選ばない」と言った理由として『姉妹仲が悪化してしまうのを恐れたため』と考えましたが、今回のこの風太郎のセリフを見て信憑性が高まったかなと思います。
自分が五つ子の誰かを選んだ時、きっと五つ子の関係は悪くなる。今まではそれに怯えて選択する事を諦めていたけど、今回の三玖のように諦めなければ、勇気を出して接していけばその関係も修復できるはずだと。風太郎は最終日にようやく思ったのではないでしょうか。
マルオから「娘たちとの関係を真剣に考えてくれることを願おう」と言われ、一花に「誰も選ばないなんて言わないで」と言われてもまだ自分の行動に迷いが生じ、自信が持てなかった風太郎。ですが目の前で『関係が修復していく様』を見ることでようやくその覚悟に火が灯ったのだと思いました。
④まだ全然我慢していた事とは
間違いなく今回における最大の難関ですね。これがドメ〇テ〇ッ〇な〇女であれば間違いなく事に及んでしまうようなシーンなのですが(流石景先生、ごめんなさい!)、これは五等分の花嫁ですからね。そういうシーンではないんだろう事は何となく察することができるんですけど、じゃあ一体何よ?っていう話です。
⑤次の話は四葉?五月?
ここまで来たらストレートに四葉回が来るのでは?と思っています。深い理由はありませんが。
そして起こりそうな出来事としては誰もが予想していると思いますが、『演劇のキャスト変更』の件ですよね。学園祭二日目、竹林と別れた後で風太郎は一人になると思われますが、そこで四葉の演劇を見物するのではないでしょうか?
そもそも風太郎は『四葉は演技ができない』という認識でいるでしょうし、それなのに四葉が「公演は大成功だったよ」というものだから大いに興味を持ったのではないでしょうか?
そしてここからまたもや妄想タイムなんですけど、『そろそろ風太郎も京都の子の正体が分かってもいいのではないか?』と思うんですよね。
そもそも風太郎は四葉に対して何かしらの思い過ごしを持っていることが『7つのさよなら』でわかっていますので、理屈ではなく感覚で四葉を見抜く可能性も十分あり得ます。
なので、例えばですよ?例えば演劇を見に行った風太郎が四葉の「また会えてよかった」みたいなセリフを聞いて、「もしかして?」と思う事態があるんじゃないでしょうか?
そこでまた一悶着あるのかもしれませんが、とりあえず時間がないのでそういう想像や予想はまた次の感想記事に回そうかと思います。
⑥ロマンは!?
ってかちょっと待って、あれ、パンの話は!?上杉母とパン屋さんの繋がりは!?ロマンは!?結局そんなものは全くなかったんですかねぎ先生!?
— 東王@五等分の花嫁専用 (@428AO) October 15, 2019
絶☆望
修学旅行の時からずっと持ち続けたロマンですが、ついにその希望が打ち砕かれた時が来たようです。
ロマンなんてなかったんや!
まとめ
今回で好意を風太郎に表明している3人のターンが終わりました。次回以降はどう転んでいくかわからない四葉&五月のターンになります。
果たして何が起こるのか?この二人は特に注意して心情を追っていかないと状況が読みにくいため戦々恐々とする部分もあるのですが、そういう不安も楽しみに変えて次回の更新を待ちたいと思います。
めっちゃまとめが雑ですが、今回はこの辺で終わろうかと思います。
ご拝読ありがとうございました。
*本記事で掲載している画像は©春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁」より引用しています。