東王の日記

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五等分の花嫁の感想考察日記!

五等分の花嫁:110話感想 五月が見せた心の叫び!この願いは間違いじゃない……!

 110話を読み終わりました。率直に言って今回も素晴らしかったです。何度読み返しても心の内側から燃え上がるような感情が沸き上がってくるのがわかります。決してバトル漫画じゃないハズなんですけどね、この作品。

 

 さて、本編の内容については後でしっかり述べるので先に物語の構成の話するのですが、『最後の祭り編』の一花回二乃回三玖回四葉は2週で問題が片付き、風太郎にキスをするまでに至りました。しかし、今回の『五月の場合②』では五月の心の問題が片付いたのみで、実父に関する問題に対してはカタが付かなかったですし、風太郎へのキスもありませんでした(そもそも風太郎にキスをするのかという疑問自体はまだ残っているのですが)。

 

 前回の記事で「次で五月回が終わるでしょう」と言ってたのもあって話がまだ続くことになるのはあまり考えていなかったものですから、この展開には正直驚きでした。まあ……そのおかげで今も体中に熱い感情がみなぎっているので万事OKなんですけどね!

 

 そんな前置きをしつつ、五月の夢を否定したムドーが自らの正体を明かした後で何が起こったのか、見ていきましょう。

無堂の素性について

 実父だと告げたムドーと五月のその後の会話で、ムドーは零奈のお腹に五つ子が宿っているとわかった途端に姿を消したことが分かりました。五つ子が生まれた時には既にムドーは失踪していたため、おそらく零奈は苗字を「無堂」から旧姓に戻したのでしょう。だから五月は顔だけでなく「無堂」という名前を聞いても全く反応していなかったのですね。

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五つ子だとわかった途端に

 前回ではお金の事も合わせて「零奈がムドーのやり方に異を唱えたからベテラン教師としてのプライドで零奈を許せなくなってしまい、愛情も失って離婚を考えたのかな」と予想していましたが、こうなると単純に合計7人の家族を養える財力がなかったから失踪したという見方が強いのかなと思いました。

 

 

 これはもう、擁護のしようが全くないと言わざるを得ません。これから親となる者が背負うべき大きな責任を何一つ果たそうとせず完全に放棄したのですから。もしもムドーがもっと誠実な人間で、零奈の出産から子育てまでサポートできた良き夫であったなら、零奈が早くに亡くなる事はもしかしたら無かったのではないか。そう考えるとやりきれない思いで一杯になります。

 

 そんな父親として失格者であるムドーが「ずっと後悔している」「心が張り裂けそうな思いだった」「罪滅ぼしをさせてほしい」という懺悔を次々と口にしたところで、それらは全て薄っぺらで中身の伴わない表面だけの言葉にしか聞こえません。というか事実そうやろ!

 

 しかも自らの行いを深く反省して悔いている素振りを見せながら、あろう事か親代わりとなってくれたマルオが五つ子の父親としての素質を有していないと指摘する始末。

 

 零奈が死んだ時、マルオが娘に何かしたか?」とムドーは問うのですが……。

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まさに愚問

 そうですね、何をしたかと問われたので答えましょうか。マルオは残された五人の娘達を一人残らず全員引き取ってくれました。人が生きていく上での基盤となる衣食住の環境を全て整えてくれました。そして娘達を全員中学にも高校にも通わせてくれました。全ては親になる事を決意した自分の責任を全うするために。

 

 簡単に言いましたが、それが想像よりもどれだけ大変な事なのか?どれだけのプレッシャーを日々感じながら過ごしているのか?お子様をお持ちの方なら特に自らの経験を持って理解して頂けるだろうと存じます。

 

 確かにマルオは普段から五つ子を放置していたと見られてもおかしくない場面も多々ありました。しかしそれは決して「子育てが面倒臭いから」などではなく、「零奈の死を受け入れる心の準備ができておらず娘達との距離を測りかねていたから」でした。事実、学園祭二日目の夜にその問題が解決したマルオは零奈の死を受け止め、残された娘達にも家族として、父親としてしっかり向き合っていく事を決意しました。

 

 だからこそ、このムドーの問いかけは『子育ての苦労を全く理解すらしていない人間の言葉』にしか聞こえませんでした。

 

 そもそもその問い掛けの答えがいきなり『娘の夢が云々~~』となる道理がありません。親の役目は、まずは自分のパートナーと共に子供を健やかに育てあげる事です(もちろん、自分自身やパートナーも健康に過ごせるようにする事も大事です)。そして育った子供が自分で夢を見つけたなら、そっとその背中を押してあげればいい。夢に悩んでいるようなら話を聞いて「自分が将来やりたい事」を見つけ出すサポートをすればいい。そのうち子供が「現実」を認識する時が来るとは思うけどそれは別の話だし、その頃には子供もしっかり成人していると思うので今回はあまり考えなくていいよね。

 

  自分の呟きになりますが、悲惨な状態であった五つ子がグレる事もなく不登校にも不良にもならなかったのは、二人の親がやってきた事に間違いじゃなかったんだなと再確認させるものでした。

 

 振り返れば『私と姉妹①』でも同じように言及してましたね。

 零奈の死後、基本的に頭がおバカな五つ子だけど、おバカだからといって不良少年少女のように道を踏み外すようなことは決してしてこなかったのでしょう。そして楽しいことや辛いことの全てを姉妹で分かち合ってきたことでしょう。全ては零奈の存在が、零奈の言葉が、零奈の願いがあったからなんだろうなあ。そう思うと胸が締め付けられる思いで一杯になってしまいます。

 

 少し話が脱線してしまいましたが、とにかく。上記全ての過程をすっぽかした挙げ句、実の娘が自分で見つけた夢を上から叩き潰そうとするムドーの姿勢はどう足掻いても納得できるものではありませんし、ああいった問い掛けをする事自体が大変おこがましい話であると自分は思いました。

 

母への憧れ

 それでも、五月はそのムドーの言葉を聞いて激しく動揺してしまいます。それはムドーの言葉によって最愛のお母さんの言葉を思い出してしまったから。

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なりたい。目指したい。

 前回でも似たような事を言いましたが、この零奈の言葉は間違いなく無堂という男と結婚してしまった後悔からくる言葉なのだろうと思われます。五月は『零奈が教師になったことを後悔している』とただ勘違いしているだけ。だからその勘違いを正してあげる事が五月の復活に繋がるのではないか?と前回思っていたのですが、最終日にペンタゴンに言って風太郎がとった行動は別の方法でした。

 

 「絶対にならないで」と言われても、気付けば母親を目指してしまっている。どうしても目指したくなってしまっている。その願いは間違っているのかと涙を流しながら風太郎に訴える五月。

 

 五月は零奈と無堂の言葉を必要以上に深く聞きすぎてしまっていたがために思い悩んでしまい、自身の進むべき道を見失ってしまいました。だからこそ風太郎は「他人の戯言なんて聞く価値もない、進むも諦めるもお前が決めろ」と強く指摘します。

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お前の夢だろう

 そもそも、五月が教師になりたいと思った一番のキッカケは『最後の試験編』で風太郎が見出した全員家庭教師案にありました。自分の得意科目を他姉妹に教える事で、風太郎が家にいない時でも各自の成績を向上させていく作戦。

 

 その最中、四葉がわかりやすい授業をしてくれた五月に「ありがとっ」と感謝をするのですが、その言葉を聞いて自分の心に生まれた気持ちを大切にしていきたいと思ったからこそ、五月は教職の道を目指すようになりました。

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感謝されて、自分が感じた気持ち

 誰かに言われたからではなく、ましてや母親がそうだったから選んだわけじゃない。ただ「自分がそうしたい」と自然に思ったからこそ選び取った道です。零奈はただ自分が選んだ道の向こう側に立っているだけ。だからこそ母親を憧れ、目指したいと娘が願うのは至極当たり前な感情であり、それを間違いだと断じる理由なんてどこにもありません。

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絶対に間違いじゃない

  今まで自分が見聞きした全ての経験から、そして自分の知っている強く凛々しく優しい零奈の姿を思い浮かべ、ついに五月は意を決して風太郎に自身の思いを力強くぶつけます。

お母さんのような先生になりたい!

私は私の意志で母を目指します

 道を見失うような事は決してしない。そんな五月の全身全霊の誓いを聞き、家庭教師としてその願いを全力でサポートする事を約束する風太郎でした。 

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勉強教えてください

 それから提案された五月の申し出は、一年前に食堂で初めて会った時の光景そのものでした。

 

 碌に目も合わせようとせず赤の他人のまま終わろうとしていた二人の関係は、一年の時を経てお互いに信頼し合えるパートナーへと大きく変わりました。真正面から目を合わせて即「勿論だ」と返す風太はどこまでもカッコよかったし、そもそも風太郎がそう言ってくれるだろうと信じて頬を赤く染めながらあの時と同じ言葉を投げた五月も中々に良かったです。

やらなければいけないこと

 確かな決意を持った五月は、再びムドーに会いに行こうとします。どれだけ否定されようと、自分の夢を貫いていく事を伝えに。

 

 また、その一方で姉四人が集まって何やら話をしています。二日目の夜に風太郎から話を聞いた一花が皆にムドーの存在と、五月がムドーと接触した可能性がある事を伝えるのでしょう。

  一周目でピキーン!と来ました。まあこれに関してはムドーがこの作品に出てきた理由が『五つ子を愛で見分けらるか否かの象徴として描くため』と予想していたからというのもあったからなんですけどね。前回の記事で「五つ子を愛で見分けられるようになった風太郎」「五つ子を愛で見分けられないムドー」を対比で描いてくれるんじゃないかと書きましたし。

 

 ただ、冷静に考えると本当に五つ子ゲームをするのかどうかは不明なんですよね。ムドーは二乃と三玖の前に姿を現しているにも関わらず何の言葉もかけなかったわけですから、その時点で父親としての愛なんて……といった所です。

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目の前に娘が二人いるぞ!

 ただしムドーはメディアに露出している一花と直接会った五月だけしか顔を知らないわけですので、一目見ただけで二乃と三玖が自分の娘であると判断するのは非常に困難なのもまた事実です。

 

 そういう事情も考慮して、やっぱり実の父親にも一度はチャンスを与えるという事で五つ子ゲームを実行する可能性はあるのではないでしょうか?ちなみに変装セットは一花の話によると常備しているとの事なので、やろうと思えばすぐに五つ子ゲームはやれます。

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五つ子ゲーム自体はいつでもできる

 ただし、五つ子ゲームをやるとなると一つ大きな問題があるわけでして……

  五月の森だったらそもそも自分が五つ子を見分けられるか不安やわ(笑)

 

 あともう一つ、五つ子ゲームとは別にマルオが三日目の学園祭に顔を出すのか?という問題もあります。マルオは二日目にお休みを取っていましたからね。

 

 だけど、ムドーと決着を付けるべきなのは五つ子と風太郎だけではありません。どちらが五つ子の父親として適格なのかも決めなければならない以上、マルオもその場にいた方がいい……というか実の父親へのトドメのセリフを吐くのは是非とも真の父親であるマルオに言ってほしい所存です。

 

 一花がムドーの存在を教えたなら、きっとその時に二乃が二日目の病院であった事も皆に伝えることでしょう。そして家族に緊急事態が発生したとあらば、連絡を受けたマルオが学校まで飛ばして来る事は可能かもしれません。来てくれ、マルオ!

 

まとめ

 五月の夢がより強固なものになった事が示された110話でした。冒頭で述べた通り、それでもまだ実父の問題と五月の恋心について完全にケリが付いたわけではないので、次週以降の話が『五月の場合』になるのかどうかがわかりません。

 

 四人が風太郎にキスをして終わっているので、それが済むまでは『五月の場合』が続くのかもしれませんし、ここで風太郎の場合』と銘打って風太郎視点での学園祭の様子が描写されるのかもしれません。さらには、最後に五つ子が勢揃いするであろう展開を見越して『五つ子の場合』となるのかもしれませんし、はたまた、99話・100話と続いたのに一度途切れてしまって全体の内容がわからなかった『日の出祭 三日目』がやって来るのかもしれません。

 

 どれやねん!と思わず突っ込みたくなる気持ちになりますが、まずは実父問題を片付けましょうか。13巻のラストの話になるであろう113話は100話の続きとして描かれると思われますので、ムドーには早々に退場して頂きたいものです。

 

 そんな感じで前回予想した展開を今回も期待しつつ、この辺で終わろうと思います。

 

 ご拝読ありがとうございました。

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アイキャッチ用なのです

*本記事で掲載している画像は©春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁」より引用しています。