東王の日記

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五等分の花嫁の感想考察日記!

五等分の花嫁:81話『シスターズウォー 四回戦』感想 皆が幸せになるための物語、開幕!

 最新話が更新される15分前に作者であるねぎ先生が呟いていました。24時に近づくにつれて緊張させられます。」って。前回があのような引きだったので、それをどう今回に繋げてくるのか内心ずっとドキドキしっぱなしだったのをまるで見透かされたような感じでした。

 

 そして更新されたばかりの最新話を読み終えると、張り詰められていた緊張の糸がプツリと切れ、声にもならない笑い声が何度となく自分の口から発せられていました。さらにもう一度最初のページから読み返して、最後まで読んだらまた最初のページへ……それを何度も何度も繰り返していました。ずっと笑いながら。

 

 

 こんな展開を見せられたら、すごい……としか言えなくなってしまうじゃないですか。とりあえず頑張って文章化したのは先にツイッターで投稿しましたのでね。こんな感じですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一文でもわかったあなたは天才です。

 

 

 

 

 

というのは置いておいて、実際はこれですね。

 

三玖風太郎に想いは届いてたよ!
あの頃から一途恋心気付いてたんだ!
そして二乃の姉妹愛強さに本当心が打たれた
ここまできたら皆幸せなるっきゃない!
四葉一花も、今の自分向き合ってこの先どうすべきか考えるんだ!
そして幸せそうにご飯を食べる五月が平常営業で微笑ましかった!

 

 ツイッターでの伏せ字感想の中身です。今回の記事は大体これが全てです。二乃がずっと大切にしていた五人の絆、フータローが気付いていた三玖の想い、そして四葉が願う皆の幸せ……

 

 実に濃密な1話でした。

 

 五等分の花嫁という作品は、最初がフータローが皆を卒業させるための物語であり、途中から誰がフータローと結ばれるかを描く物語へと変わりました。だけど、今回のお話でさらに新しい物語が紡ぎ出されました。

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皆が幸せになる方法

 さあ、皆が幸せになるための物語の始まりです。見ていきましょう。

 

 

 

 今回も各人に見せ場がありました。

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違うんだ

 前回四葉「そんなつもりで言ったんじゃないよ」「それが本当にしたいこと?」と言われ、それに対して「私がしようとしてたのはこういうことだから」と返した一花。そして涙ながらに走り去っていった三玖と変装用のヘッドフォンを見て怒った二乃に対しても、温泉の時に言われた言葉をそのまま用いて問い返します。「教えてよ」と……

 

 なんだか、この時の一花の表情を見ていると切なくなってきます。

 

 前回の感想でも書いたんですけど、一花のしたいことって「フータローを取られたくなかったこと」じゃないですか。そしてその手段として「フータローを先に取る」のが無理だから「フータローを取られないように他者を妨害する」方法があるってことも。

 

 でもその手段というのは一花自身も胸がズキッとなるくらいには心の傷を負ってしまう諸刃の剣なわけで。そんなことを何度もしていては、心が壊れてしまいます。それなのに一か月以上に渡って皆を騙し続けてきたんですよ、たった一人で「後悔しちゃダメ」「またやるしかない」と自分に何度も言い聞かせてまで。

 

 そんな辛いこと、やめられるなら誰だってやめたいでしょう。二乃みたいに直球勝負に出られたならどれだけ精神的に楽なことか。だけどそれは一花には「絶対無理!」なんです。おそらく一花はそんな矛盾した気持ちを抱えたままずっと過ごしてきたんだと思います。

 

 そしてそういった精神が不安定な時期に絶対バレてはいけない嘘がバレてしまったこと「そんなつもりで言ったんじゃない」と言った四葉、「蹴落としてでも」と言ったのに「あの子を泣かせてこれで満足?」と責めてきた二乃の言葉を受けて、恋愛に対する自分の軸が崩れ去ってしまったんです。

 

 この「教えてよ」は「じゃあ私は一体どうすればよかったの?」という一花の心の叫びでもあるのかな、なんてそんなことを思ってました。投げやり、というか虚無感みたいな、そんな感情が現れたように見えたので。

 

 そんな一花に対して、二乃の本音が炸裂します。

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絶対に壊したくない、五人の絆

(前回の感想考察で「ギスギスしててもなお形に残る思い出を作る二乃の姉妹愛の強さは本物だわ!」みたいなこと書いてたけど、このコマを見たらそのことを思い出して「やっぱりじゃーん!」ってドヤ顔になりました)

 

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正々堂々の裏にあった二乃の想い

 これらのコマに二乃の全てが集約されていました。

 

 二乃の言う「他人を蹴落とす」とは、文字通り他人を妨害する事じゃない。正々堂々とアプローチをかけてフータローに選ばれることがすなわち他人を蹴落とすことになるんです。だから二乃にとって「他人を蹴落とすこと」と「姉妹の絆を大切にすること」は競合せずにいられたんです。真正面から戦ってくれたから負けたとしても素直に祝福したかった。誰よりも大切な姉妹だから負けたとしても盛大に祝福したかった。そういった想いの強さが、今の二乃が持っている姉妹愛の強さと、恋愛に対する強さなんでしょうね。

 

 これを見た時の僕はもうこんな感じ↓でした。

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二乃ぉ

 いや僕だけじゃなくてみんなもこんな感じになったでしょう!?

 

  もうほんと、7つのさよならで髪を切ってからの二乃のブレのなさは異常です。っていうかあれだけ長かった髪をバッサリ切っただけの事はあって、あれからずっと前を向いて進むことに一切の迷いがない。まるで成長した主人公のごとくバッサバッサと自分の道を切り開いています。改めて見ていてこんなに気持ちのいいキャラになるとは思いませんでしたよ……

 

 

 と言ったところで場面を変えます。何と言っても今回の話で一番反響が大きいであろうシーンですね。

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気付いてた!

 もうホントね、フータローがかっこよかった!!

 三玖の想いが既に通じていたのを知って、口元がニヤけてしまっていたのは僕だけじゃないと思いたいですね。今の三玖って、例の事件のために「告白しても失敗するのでは?」っていう懸念があったんですよ。たとえパンを渡せたとして、それで告白する勇気が湧いてきたとしても、上手くいかないかもしれない。

 

 しかも前回の終わり際でいよいよもっとマズい事態になってしまって、どうすれば三玖は報われるんだ!?って不安に思ってたんですよ。

 

 でもそうじゃなかったんだなって。家族旅行でただ一人見抜いてもらえた時からフータローは理解も意識もしていたし、偽三玖に応援された時にも違和感を感じていました。あの時からずっと引っかかっていた疑念が今回の件で確信へと変わったから、三玖が自分を好いてくれていることをようやく声に出せたんですね。

 

 これを見た時の僕はもうこんな感じ↓でした。

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上杉君…

いや僕だけじゃなくてみんなもこんな感じになったでしょう!?

 

 

 そういえばこのことについて、知ってる人は知ってると思いますが、これまでにちょっとした議論があったんですよ。風太郎が三玖の好意に気付いてるのか否か、引いては偽三玖が三玖じゃないことに気付いてるのか否かって。

 

 四葉に「三玖とかどうですかー?」と聞かれた時も、五月から「三玖じゃないのですか?」と聞かれた時も、それぞれで風太郎のセリフで「!」のマークが出ていたということから、実は風太郎は三玖の好意に気付いてるんじゃないか?という推理をしてた方も結構いたと思います。

 

 僕は風太郎が知ってるなら、三玖と対立してない四葉と五月にわざわざぼかすことないよなあ……と思って三玖の好意にはまだ気付いていない(ただし偽三玖に関しては違和感を感じている程度)説をとってましたが、いやあ大外れでしたね。

 

 いいんです、予想が外れようと。良い意味で裏切られる展開というのは何度来てもいいものだからです。フータローのカッコよさがより強く感じられたのでオールオッケーです

 

 というか心理描写なしにフータローが核心を突く場面が二回戦の時にもあったんですけど、こっちでも「フータローって何も知らないんじゃないだろうか……?」→「あ、知ってるのか!」ってなってるので、フータローに対する見方をちょっと改めないといけませんね。全国模試3位を舐めちゃいかんわこれ。っていうか主人公舐めちゃいかんわこれ。これで三玖が落としたパンを実は拾ってて、三玖の目の前で食べて「美味い」の一言でも言ってくれたら漢ですよホント。

 

 

 そして最後にバス内での四葉とフータローの会話です。話のインパクトとしては上記二つほどではないんですが、でも「五等分の花嫁」という作品のゴールがどこにあるのかをまざまざと意識させられるような会話でした。

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幸せに「差」を求める四葉

 他の姉妹を優先し、「自分」というものを極力前に出さないようにする四葉。勤労感謝ツアーの時もそうだったし、修学旅行前の班分けの時もそうでした。最後の試験で赤点による転校を回避することで皆に恩返しができたのかと思っていたけど、その枷に囚われたままなんですね(その時は「努力」がテーマの話だったので恩返しには至ってない、と言えばまあそうなんですけどね)。

 

 でも、これまでの四葉の行動を思い返してみれば、四葉は十分他の姉妹の力になってきたではありませんか。

 

 一花には家族旅行の時に長女という立場に囚われず我慢しないでほしいと言って枷を外しました(思ってたのと違う結果になってしまいましたが)。

 

 二乃には……大きなことはしてないか。あれですね、フータローと同じバイト先の求人広告を見つけましたね(三玖も見ましたが)。

 

 三玖には今回の修学旅行でできる限り最大限の応援をしました(結果的にフータローにばらしてしまいましたが)。

 

 五月には勉強を教えてもらった時に「ありがとう」という言葉を伝えたことで、先生になりたいという夢を確固たるものにさせました(最初に思い出したのはタダでコロッケパンをあげたことでした)。

 

 それだけじゃないです。花火セットを買っていたおかげで5人全員での花火の思い出を作ることができました。最後の試験でマルオに最初に啖呵を切ったのが四葉であれば、フータローが試験の突破口を見出せたのも四葉が起点でした。そして模試の勉強と家庭教師の両立に疲弊してるフータローに五羽鶴を提案したのも四葉でした。

 

 これだけの事をやってもまだ彼女は皆の不幸を取り返したと思っていない。自分は他の姉妹よりも幸せになるべきではないという四葉の戒めは、本編開始前から今までずっと抱えてきているだけあって想像以上に固いです。

 

 だけど「幸せ」なんてもの、数字に出して目に見えるものではないじゃないですか。それに幸せの享受の仕方も人によって全然違います。他人から見たら些末なことであっても、当人からすればとてつもなく幸福なことだって、目にすることもあるでしょう。

 

 それなのに四葉が今まさに考えていることなんて、姉妹の幸せを勝手に自分のものさしで測って数値化し、その数値が自分よりも低かったらそれより下になるように行動するということなんだから、客観的に見て「自分から不幸になろうとしている」としか映らないんですね。そりゃあ「度が過ぎている」とフータローも言いたくなります。

 

 それから後悔のない楽しい修学旅行にしたいのに、いくつもの衝突やすれ違いが起きている現状を憂い、皆の幸せを願ってやまない四葉。そんな四葉にフータローが幸せにも種類があって、全てを得ようとするのはおこがましいことなのではないかと言い聞かせます。

 

 これは本当に、フータローの言う通りです。だけどもしかしたら、この五つ子の絆なら、それを乗り越えていく事だってできるんじゃないでしょうか。一人で皆の幸せを実現できなくても、五人集まればきっと何とかなる。かつてフータローも言ってたじゃないですか、「お前らが五人揃えば無敵だ」って。今こそもう一度、その可能性を信じてみるのは十分にアリだと思います。

 

 それに常に一歩引いた状態の四葉を同じ線上に立たせることができるのは、他ならぬ姉妹だけなんです。いつか四葉に心からの言葉をかけて今の状態から脱却させてほしいですね。

 

 というか本当に、四葉には自分も幸せになる道を模索してほしいと願わずにはいられません。その道の先に自分が今まで見てきたような衝突やすれ違いが起こらないとも限りません。他の四人に負い目を感じているからそんなことになりたくないと思っているかもしれません。しかし、二乃が言ったように五人の絆は大切なものです。自分を押し殺したとしても、そんなのは姉妹が喜ばないし許さないでしょう。

 だからさ、四葉も一緒に幸せになろうぜ!

 

 そして皆が幸せになるために、まずは一花と三玖の問題を解決しなければなりません。フータローを取られたくない一心で姉妹の絆を蔑ろにしてしまった一花と、不幸な巡り合わせにより告白をふいにされて自分の殻に閉じこもってしまった三玖。この二人に心からの笑顔を取り戻すために一体どうするのか。二乃とフータローの動きに注目です。

 

 

 後は少しチラチラ気になった場面をいくつか取り上げましょうかね。

・「カシャン」の正体

 カメラでしたね。少なくともカメラではないような気がします。とか言ってた一週間前の自分に笑ってます。

 この盗撮犯の正体も気になるところ。この話を読んだ直後は江端さん一本読みでしたけど、どうなんでしょうね。二乃に拘ってるようなので別人の可能性もあるんでしょうか?マルオ視点だとフータローに「娘さんを頂いていきます」なんて言われたもんだからそういう意味で監視してるとかですかね?

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一眼レフで「カシャ」

 ん、カメラ?と思ってスクランブルエッグ読み返したんですけど、江端さんのカメラの種類もシャッター音も違いますね。んーじゃあ江端さんじゃないのかな?

 

 本人達にとってはすぐ教師達に訴えて警察を呼んだ方がいいレベルの恐怖体験なのでこんな事を言うのもなんなんですけど、漫画的にきっとそこまで大事にならないだろうなと思ってます。

 

・フータローが追い抜かれた理由と前田・武田が遅れてきた理由

 普通に食事でしたね。お昼ご飯を食べた、ということはないでしょう。とか言ってた一週間前の自分に笑ってます。ていうか前田をおんぶして息切れしてない武田も相当に体力ありますよね。さすが宇宙飛行士を目指しているだけあって、運動なども欠かさず行っているのでしょう。食べ物の好き嫌いの多さとすぐトイレに行きたくなる性分についてはどうにもならないらしいですが、夢に向かって進み続けてて安心できますね。

 そして前田ァッ!トイレとか言いながらお前彼女の所に行ってるだろ絶対!!

 いいぞもっと行け。ていうか前田嫁(アニメで松井さんって名前がわかりましたね)とフータローの簡単な絡みも見てみたいですね。

 

・クラスメートの2人

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もはや準々レギュラー

 わかりますか?この出演率の高さ。「上杉君すごいね!」「ありがと!」から始まった二人ですが、もはや前田と武田の次くらいに登場してます。シスターズウォーに限定すれば二回戦以外の全部に出てますからね。

 

 多分今後も一切の絡みはないと思いますが、「今週は出てるのかな?」って探してみるのも面白そうですね。

 

 

 

・五月

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二乃「皆聞いて」 箸を止める四葉と止めない五月

いっぱい食べる君が好き

 他の四人がすれ違い、衝突、葛藤、憔悴してる中での五月の平常営業っぷりは見てて微笑ましいですね。

 

 いいんですよ。身近な事に幸福感を感じられるのも一つの幸せの形だからです。というより「幸せってのはこんな身近にあるんだぞ」ということをいとも簡単に教えてくれています京都の子の関連で大きく動き出すんだろうなと思っているので、今は存分に食べまくって僕らに満面の笑みを見せ続けてください。

 

 

 今週の感想はこんなところでしょうか。来週の一花と二乃の話とは一体何なのか、それを聞いたフータローと三玖がどう動くのかに注目しつつ、今回はこれで終わります。

 ご拝読ありがとうございました。

 

 *本記事で掲載している画像は©春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁」より引用しています。